アウトドアがバックボーンにあるライフスタイルへの道しるべ。【HELLO NEW DAY(後藤伸介/児玉敦洋)】

ブランドやショップが発信するフェスとはどういうスタイルなのか。大山という山陰を代表する自然のなかで生み出されるマーケットと音楽とキャンプのクリエーション。

文 = 菊地 崇 text = Sakana Sorano  写真 = 須古 恵 photo = Meg Suko

–– ネイタルデザインとZOZOアウトドアの共催として千葉でスタートした「ハローニューデイ」。どんなきっかけで開催に向かっていったのですか。

児玉 ZOZOで前の担当から僕がネイタルさんを引き継いだのが2014年だったんです。担当になって後藤さんと飲みにいく機会があって、「アウトドアのなかでも何が好きなの?」って聞かれたんですね。僕は「フジロック」が好きでアウトドア、そしてアウトドアファッションの世界に入ってきた人間なので、「フェスをやりたい」っていう話をさせてもらって。その場で「やろう」っていう話になったんです。それが6月で、とんとん拍子に進んでいって、8月後半には一番星ヴィレッジで1回目を開催していました。


–– きっかけから実現まで2カ月しかかかっていないんですね。

後藤 ずっとバンドをやっていて、フェスをいつかやりたいって思っていたんですね。話を聞いたときは、フェスっていうよりも、ライブを野外でやるというくらいの感覚でした。「朝霧JAM〉に出店していたこともあって、フェス自体はイメージできている。ブランドの友だちもいる。自分たちの世界観で小ちゃな感じでやればいいだけでしょ、みたいに考えていたんですよね。やったらけっこう大変だったけど(笑)。


–– ネイタルデザイン、ZOZOが主催なのだから、このフェスの特徴はマーケットであり、マーケットを展開することが最初のきっかけなんだと思っていました。

後藤 確かに自分たちとZOZOのネットワークがあれば、幅広いブランドに声かけすることは可能ではあったんですね。

–– マーケット出店に関して一般募集はせずに?

後藤 最初の年から基本はしていないですね。もちろん1年目はこちらからのオファーで、2年目以降はそこにプラスして友だちづてに紹介してもらうだけ。つまり仲がいいところっていうことです。「ハローニューデイ」のメインテーマとして掲げているのは「大人も子どももちゃんと楽しめるエデュケーショナル空間」っていうこと。子どもたちにいい影響を与えてくれる人たちだったらいいなって。だから出店するブランドにもワークショップをお願いして。


–– マーケットではあるんだけど、売り買いの場だけにはしたくない?

児玉 もちろん出店する方々には、仕事として来てもらってはいるんですけど、一緒に楽し

んでほしいっていう気持ちです。自分たちが楽しんでいる場にお客さんも来てもらって、楽しさがより大きなものになる空間になっていくっていうことを大切にしたいんです。

後藤 顔が見えるブランドというサイズ感。それだったら、グレイトフル・デッドでいうシェイクダウン・ストリートの雰囲気を作れるんじゃないかって。でもマーケットを特化したいわけじゃないんです。音楽があって、マーケットがあって、食があって、ワークショップもある。それぞれの文化が集まる場所。そして集まったことによって新たなカルチャーとして育っていって、それが生活になる。だからフェスのタイトルが「ハローニューデイ」なんですね。全部が並列にあるといいなって思っています。

–– 千葉で2年開催して、2016年から鳥取の大山のキャンプ場に会場が変わりました。

後藤 東京や関東でいっぱいフェスが生まれてきた頃だったので、違うところのほうがいいかなっていう軽いノリでした。一番星で辛かったのが、夏の開催ということだったんですよね。

8月の千葉はすげえ暑い(笑)。一番星は秋から春までは牧草地として使われているので、夏しか貸してもらえなかったんです。フェスではキャンプしたいし、キャンプでは焚き火をしたかったし。だったら開催時期は秋だろうって。

児玉 僕は島根が地元なんですけど、2016年のゴールデンウィークに帰省して、そのときに今の会場となっているFBIさんにお伺いしたんです。とにかく環境が気に入って「ここだ」っ

て思ってしまって。


–– 目指しているのは、アウトドアがバックボーンにあるライフスタイル?

後藤 それをそれぞれの人や家族が作ってもらえるきっかけになればいいなって思っています。キャンプすることがメインではなく、野外で楽しむためのベースがキャンプなんだっていう。

児玉 自分の高校時代までは、いろんなブランドが一堂に集まるっていうことが地元ではなかったんですね。「ハローニューデイ」で山陰の若い子たちが何かを受け取ってくれて、そこから新しいつながり、新しい文化が生まれていってくれたらうれしいですね。

HELLO NEW DAY

千葉県の一番星ヴィレッジで2014年夏に初開催。2016年秋から現在も続く鳥取県大山のFBI大山が会場になった。山陰にアウトドア&アパレル・ブランドが出店するマーケットフェスが少ないことと焚き火を楽しみたいという理由から変更を決めたという。現在主催するのはアパレルブランドのNATAL DESIGNと出雲にあるショップB.S.K.K、そしてFBI大山の3社。今年は飲食も含め50近い出店がマーケットに並ぶ。

HELLO NEW DAY 2022

開催日:10月22日(土)~23日(日)

会場:FBI DAISEN(鳥取・伯耆町)

出演:BES、光風 、MIDORINOMARU、Peace-K、小林崇(トーク)、竹内洋岳(トーク)、ほか


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