FRUEというジャムの進行形。ジャムカルチャーを巡る対談。【山口 彰悟(FESTIVAL de FRUE)vs菊地 崇(DEAL)】

ジャムバンドのカルチャーをバックボーンにしたフェス(パーティー)のFRUE。1999年のPHISH来日以来、『BALANCE』『Lj』といったフリーペーパーでジャムバンドを日本に伝えてきた本誌編集長(フェスおじさん)。ふたりのジャムとフェスを巡る対談。

文 = 菊地 崇 text = Takashi Kikuchi
写真 = 伊藤 郁 photo = Kaoru Ito


菊地 〈FRUE〉からは、どこかにジャムバンド・シーンのニュアンスが感じられる。 アニ(山口)にとっての最初のジャムはいつだったの?


山口 やっぱりPHISHと〈オーガニック・グルーヴ〉ですよね。99年の〈フジロック〉でPHISHが初来日して、その直後の〈オーグル〉でMMWがリキッドルームでライブして。実はそのときはまだ知らなくて見ていないんです。終わってから噂が聞こえてきて。


菊地 99年以降、〈オーグル〉は頻繁に海外からジャムバンドを招聘していたから。


山口 最初に見たジャムバンドは、2000年のレイク・トラウトかギャラクティックでしたね。その後もクリッターズ・バギンやポンガと続いて。


菊地 そして2002年にはストリング・チーズ・インシデント(チーズ)も〈フジロック〉にやってきた。2000年代前半は多くのジャムバンドが来日した。どういうきっかけがあって、ジャムに入っていったの?


山口 もともとダンスミュージックが好きで、おもしろそうなイベントを探していたんですよ。テクノなどのDJはちょっと飽きてきていた頃に、ボアダムスやROVOなど、トランスパーティーにもラインナップされていて、 DJではなくバンドでパーティーの時間を紡いでいることに興味が向かっていって。それでバンドっておもしろいかもって思うようになって、PHISH、そして〈オーグル〉に流れていったんですよ。


菊地 当時は何歳くらい?


山口 20代前半です。まだ学生で大学の仲間と行っていたから。若いですよね(笑)。


菊地 確かに。今の20代前半の学生がエッジのあるところに行くかっていったら、そうではないかもしれないけど。


山口 なんか遊ぶことにワクワクドキドキしていましたよね。新しい刺激を求めていたし。ジャムバンドって、日本ではどのくらいまで盛り上がっていたと思います?


菊地 2005年か2006年か。ジャムバンドに影響を受けた日本のバンドも次から次へと出てきたし。それはやっぱり〈オーグル〉や〈フジロック〉が、ジャムバンドのライブを日本で紹介していたからだと思う。


山口 今でも、影響を受けているんだろうなあっていうバンドはいっぱいあると思う。ただジャムという手法なりカルチャーなりを、ライブという空間で演出しているバンドは少ないかもしれないですけど。見られていないっていうだけかもしれないですけど。


菊地 残念ながら、PHISHはもう20年近く来ていないし、チーズも十数年来ていない。数年前にMOE.が〈サマーソニック〉にやってきたけど、噂では聞いているかもしれないけど、実際にライブを体験しているっていう20代のミュージシャンは少ないと思う。


山口 MMWも最後に来日したのは2010年ですからね。 PHISHを20歳で体験したっていう人でも、もう40歳近くになるんですからね。〈FRUE〉のお客さんって40代の人が多いんですよ。


菊地 ジャムのシーンを体験して、そこにあったものを〈FRUE〉に感じているっていう証明だと思う。〈FRUE〉には、自由を楽しむ空気感があるっていうか、余白がある感じ。ジャムバンドのライブにはそれがあったんだけど、それが今は少なくなっていると感じる。


山口 確かに、みんなもうちょっとゆとりを持ってもいいじゃんって思いますよね。20年前に「インプロってなんだ?」みたいなことを仲間で言ってたんですよ。日常のなかにもっとインプロを入れていけたらいいよねって話していて。最近ではバンドもインプロが少ないし、2セットあるライブも少ない。余白をみんなが埋めようとしていますよね。5分の曲が15分になって、その10分で受け取れるものって、それぞれが違っていたじゃないですか。それぞれがそれぞれの旅をする。そのときにしか受け取れないもの。今年の〈FRUE〉にマルコ・ベネヴェントを入れているのは、ジャムをもう一度感じてもらいたいっていう思いもあるからなんです。


菊地 ジャムのいいところのひとつが、いいか悪いかが体験した個人に委ねられるところ。個々に求めているものがあって、ショー全体としての及第点を求めるだけじゃないっていうか。最高っていう人もいればダメだったという人もいる。体験としてのライブ。そんなライブが人間っぽくていいと思うんだけどね。


山口 オーガナイザー目線で言えば、それはかなり大人の意見(笑)。


菊地 旅をさせてくれるというか物語を感じさせてくれるというか。身体の細胞に刻まれるような強烈な体験。例えばMMWのライブって、いつもそうなったじゃない。


山口 〈FRUE〉の1年目で言えば、ジャジューカの深夜の生音セットが、そこまでたどり着けたんじゃないかなって思っています。去年だとビリー・マーティンとヤマンドゥ・コスタがセッションしたときとか。「これだ!」って言えるもの。楽しかったを超えたいって思っているんです。トラウマレベルになるライブ。それをフェスで提案したいっていう思いが、〈FRUE〉を続けるモチベーションになっていると思います。

山口彰悟
1977年熊本県生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒。ライブの原体験は10歳のときに観た立川談志師匠の高座。<Greenroom Festival>、<TAICOCLUB>などでイベント制作・運営を学び、<True People's CELEBRATION> や <Organic Groove>の後期コアスタッフとして人生を変える体験を手伝う。。2012年3月より都内を中心に、年に2~3度のペースでFRUEを開催。


FESTIVAL de FRUE 2019
開催日:11月2日(土)~3日(日)


会場:つま恋 リゾート彩の郷(静岡県掛川市)


出演: Tom Zé、ACIDCASE、Billy Martin、Carlos Niño、Marco Benevento、大友良英、cero、チャッカーズ、他

http://festivaldefrue.com/


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