フェスを通して地元を盛り上げ、地元の魅力を伝えていきたい。そしてフェスをよりいいものにしたい。そんなまっすぐな思いが、朝霧JAMのオーガナイザーとボランティアチームを対等なものにしている。
ー それぞれの朝霧JAMS’でポジションを教えていただけますか。
堀内 現在、代表を務めさせてもらっています。代表になったのは2019年。2004年からコアスタッフとして活動しています。
矢部 2代目の代表で、前の前の代表になります。「朝霧JAM」初年度に飲食で出店させてもらったんです。美郷さんから、「地元ですごいフェスがあるから参加しないか」って声をかけてもらって。ちょっとおもしろそうだなって軽いノリで出店を決めて。参加したら、ボランティアのみなさんのまっすぐな気持ちがグサッと刺さりまして。2年目からボランティアで入らせてもらっています。
小野田 去年からコアスタッフとして参加することになりました。みなさん暖かく迎えてくれて、恵まれているなって思っています。富士宮で観光ボランティアもしているのですけど、一昨年に地元でこんな大きなイベントがあるから一緒に行こうよと誘われたのが「朝霧JAM」でした。
美郷 今は副代表で、立ち上げメンバーとしてずっと関わっています。父とスマッシュの日高(正博)さんが知り合ったことから縁がはじまったんですね。地元に住んでいて、地元でおもしろいことってないかなって思っていたところに、日高さんが「フェスを朝霧でやるから、やるか?」という話をしてくださって。「やります」って答えちゃったんです。初回の開催が正式に発表されたのは、開催当日の1カ月ちょっと前。そこからみんなに声をかけて、朝霧の酪農家さんたちにも挨拶に行って。思いつくことを全部やるみたいな感じでした。
ー 特に酪農家さんなどの地元の方は、当初は開催反対の声も多かったのではないですか。
美郷 「朝霧JAM」の前には富士山界隈では多くのレイブパーティーが開催されていたんですね。ポーンときて、散らかしてポーンと帰っていく。それはないでしょっていう気持ちを私も持っていました。だから地元の私たちが協力しなければ、絶対に続かないって思っていたんです。少しでも多くの地元の人に協力してもらいたい、応援してもらいたい、参加してもらいたいと思って、1カ月はガムシャラに動いて。当日ボランティアも100人集めて。
ー それが朝霧JAMS’になっていったのですね。
美郷 しばらくはJAMS’という名前もなかったですから。
堀内 確か3年目に付いたんじゃないかな。
美郷 最初の頃に、日高さんが「日本では奉仕することがボランティアと考えられているけど、本来はそうじゃない。自分の考えで、自ずからやるっていうことなんだ」って話してくれたんですね。スマッシュという主催がいて、私たち地元のボランティアがいる。やらされているのではなく、地元のためにボランティアとして参加する。主催とボランティアが常に対等なんです。だから自分たちの活動費を自分たちで稼いでいますし。
堀内 こういう方向でやりたい、こんなことをやりたいって主催者サイドに話すと、やってみてもいいよっていうことが多いんですね。JAMS’のなかでも言い合いになることが多い。それはあくまでポジティブな話し合い。思っていることを口にして意見を交わす。そして自分たちの思いを主催者側に伝える。それでいいんだっていうことが、コアスタッフのみんなの心に芽生え、根付いているんです。
ー コアスタッフのことを簡単に教えてもらえますか。
堀内 基本は地元の人間。コロナになってズームでのミーティングが当たり前になりましたけど、会ってミーティングをしたり、一緒に準備をしたりっていうのがすごい大切で。メールより電話、電話より直接会って話すこと。その思いがコアスタッフのひとつの絆になっています。当日のボランティアは全国から来ていただいています。従来は200人くらいに参加していただいていました。
ー 「朝霧JAM」は去年、20回目の開催を迎えました。
堀内 いろんなフェスを見させてもらっています。地元っていうことはもちろんあるんですけど、やっぱりここが一番いいなって思います。お客さんも当日ボラさんも、リピーターの方が多い。それだけ愛されているっていうこと。よく仲間で言っているのが「ここはラッキーカントリーだ」って。富士山っていう圧倒的な存在が目の前にある。「朝霧JAM」によってそのありがたさに気付かされるんです。
小野田 今年で30歳になるんですけど、小学校のときからあるイベントなんですね。 いずれみなさんの代から僕らの代へ、そして僕らの次の代へつなげていかなければならない。そうなったときの歯車というか噛み合わせのきっかけになればと思っています。
矢部 僕は独身時代に入って、ボランティアで出会った人と結婚して子どもも生まれて。今、時代の境目のような気がしているんですね。仕事をどうしていくのか。どういうふうに生きていくか見つめ直した人も多いと思います。JAMS’のような環境で参加できるボランティアチームってなかなかないと思うんですね。そこで得る経験ってすごい大きいし、魅力的なんですよ。こんな経験をしたいっていう人はたくさんいるように思います。
美郷 20回目というのは私にとってはすごい節目でした。初心に戻るっていう強い気持ちがありました。自分たちで作る楽しみを共有して生きながら、メンバーみんなと、気持ちも踊るようなおもしろいことをやっていく。それを去年は再確認したし、これかもその気持ちを持続させていきたいなって思っています。
応募締切:9月13日(金)
朝霧JAMS’
「朝霧JAM」が開催されることをきっかけに、地元の有志がフェスの運営をサポートすると共に、フェスを盛り上げることを目的に2001年に発足。「笑顔と元気のおもてなし」を合い言葉に、地域の魅力の情報発信なども行なっている。地元メンバーであるコアスタッツを中心に、フェス当日には、全国から200人近くがボランティアとして参加。フェスのボランティアスタイルの礎を築いた存在。「フジロック」では朝霧食堂の運営も行っている。
開催日:10月12日(土)~13日(日)
会場:富士山麓 朝霧アリーナ(静岡県富士宮市)
出演:
10月12日/CARIBOU、CORNELIUS、石橋英子、いとうせいこう is the poet with 小泉今日子、JOHN CARROLL KIRBY (BAND SET)、KIASMOS (LIVE SET)、キセル、Kroi、maya ongaku、Ovall
10月13日/安部勇磨、安部勇磨、CHARLOTTE DAY WILSON、ELEPHANT GYM、GHOSTLY KISSES、羊文学、Homecomings、JJJ、MONO NO AWARE、森山直太朗、Qrion、STUTS (BAND SET)、TODD TERJE (DJ SET)
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