60年代後半から続いている日本のカウンター・カルチャー。そこには多種多様な表現やメッセージも内包されていた。「虹」をコンセプトとした数々のマツリやイベントは、人を混ぜ込んで行く時間にもなった。そしてそこから新しい希望が生まれていった。
文 = 菊地崇 text = Takashi Kikuchi
写真 = 林大輔 photo = Daisuke Hayashi
ー いわゆるマツリと呼ばれているものに、いつ頃から関わっていらっしゃるんですか。
セブン ベトナム反戦運動や安保闘争の狭間で1969年にアメリカで〈ウッドストック〉が行われ、日本でも開放的なフェリーフェスが多発していた。日比谷野音で〈10円コンサート〉などが開催されてね。この〈10円コンサート〉などに賑やかしスタッフとして入ってたんですよ。頭脳警察のパンタさんなどにも可愛がってもらって、いろんなフリーコンサートのメンバーになってね。でも他にも不思議なマツリは多かったよ。ネットのない時代だから相当あった。自らのアンテナ磨いてないとね!(大笑)
ー 〈10円コンサート〉というのは?
セブン ギターリストの成毛滋さんがオーガナイザーのイベントで当時の東京都の条例で、入場料が10円だから会場費が格安(減免)になったかもね。みんな「知恵」を絞って規制からの抜け道を手探りしていた時代ってわけさ。知恵の実を食べる流行りもあったね。日本初のロックイベントとも言われていて、ロックバンドがジャンル超えて出演してたけど、天井桟敷とか紅テントや黒テントの人たちも、舞台衣装のままでチラシをまきに来てたり、客席でパフォーマンスしたり、不思議な連中が勝手に風呂敷を広げてフリーマーケットをしたり。考えてみれば、それってすべてマツリの不思議大歓迎なエッセンスだよね。日本の伝統文化系祭りじゃなくて、欧米諸国の政治事情も芸術文化も加味した、自分たちの世代が生み出すオリジナリティのあるマツリだなって思い行動するわけさ。なので70年代前半から気が付くとずっとマツリに関わっているんだよね。
ー 最初にセブンさんが企画・主催したマツリ、あるいはイベントってなんだったのですか。
セブン いろいろやってたけど、自分で「これだ!」って言えるのは、1974年に神奈川大学でやった〈オールナイト・レインボー・ショー〉だね。サイケデリックなオールナイトパーティー。
ー それをどんなものにしたいと思っていたのですか。
セブン 当時のアンダーグランドのバンドを集める。久保田麻琴&夕焼け楽団、裸のラリーズ、現代音楽系のタージマハール旅行団とか。アングラっぽい匂いを残しつつ、ショーとして遊びたかった。ニューヨークのアンダーグラウンドの映画を16ミリで上映して、スライドで合成したり。視覚はバッチリ。音楽だけではなく、映像や照明、デコレーションなどで、空間を演出していく。イメージとしてはサンフランシスコのフィルモアウェスト。特にバークレーのミニコミや音楽系の雑誌が、東大の社会学部の資料として入って来ていたし、その研究の手伝いもしていたから、記事を仲間たちと翻訳して。音楽そのものよりも、記事を通して視覚、ビジュアルやムーブメントの超越的なメッセージ性が先にあってね。
ー 根っこにあるのはカウンター・カルチャー?
セブン 正にそう。カウンター・カルチャーにはヒッピーとイッピーがあって、俺はどちらかといえばイッピーサイド。社会的な運動が、俺にとってのカウンターパンチだから。
ー セブンさんにとってマツリはどんな存在だったのですか。
セブン こんなに種族がいっぱいあるんだと教えてくれる場所。アート集団もいれば、大地に帰れとメッセージするグループもいる。自分より10歳くらい年上の世代では部族もある。フンドシだけでハプニングする裸族なグルーブ…。それらそれぞれの持っている一番いいエッセンスを、エンターテインメントショーとしてひとつにしようと。それが〈オールナイト・レインボー・ショー〉だったかもねーいろんなところで起こっていることをつないでいった。セブン レインボーって架け橋だから。つないでいったというよりも混ぜ込んでいった。「スピリチャル・コラージュ」さ!
ー つないでいくこと、混ぜ込んでいくこと。それは88年の〈いのちの祭り〉にも刻まれているし、今年の〈いのちの祭り2024〉にも受け継がれていると思います。
セブン 例えば世界的「アースデイ」発信で、メジャーなフェスでも同じ意識があるわけだし、いろいろなフィールドにエコロジー的なビジョンが含有されている。〈ハチハチ〉では、あそこまで全体が動き出すとは思わなかったね。みんながいろんなアイデアを持ち込んで、それぞれの分野でオーガナイズして、全体が成立していった。みんな手弁当で集まってね。こんなこと、もう2度とできないと思ったよ。
ー それが今年も開催されます。
セブン 〈ハチハチ〉でまかれた種が、いろんなところで芽を出しているでしょう。みんなが育てて、次の世代へとつながっている。今年の〈いのちの祭り2024〉も、みんながちゃんと顔と笑顔を合わせる場所にしたいな。SNSを通して、この人はこういうことをやっているということは知ってたとしても、実際に会って話すことで、また新しい何かが必ず生まれるはず。SNSではつながっていない人とも会えるわけだし。仲間たちが集まる。仲間を増やしていく。みんなの思い入れが良い感じでできあがって行けばマツリなんだかから、楽しむ気持ち、気軽な遊こころも持って集まれれば、光合成さ。
Dr.A.SEVEN
対抗文化のアジテーターとしてロックバンド「ACIDSEVEN」を結成。国内外を旅し、多くの民族文化を体感。ビート系詩人、ロック魂的シンガーとしてもステージに立つ。1974年に<レインボー・オールナイト・ショー>をオーガナイズ。以降、幾多ものマツリやイベントに携わっている。12年ごとに開催される〈いのちの祭り〉の強烈なオーガナイザーのひとりでもある。https://www.instagram.com/dr.a.seven/
「ノーニュークス・ワンラブ」を掲げ、1988年に開催された「いのちの祭り」。12年に1度という他には類を見ないスケジュールで開催が継続されている。カウンターカルチャーをベースに、音楽やアートを通じて、いのちの大切さをあらためて確認する祝祭。
開催日:8月29日(木)~9月1日(日)
会場:鹿島槍スキー場(長野県大町市)
出演:喜納昌吉、HIROKI OKANO、China Cats Trips Band、熊谷門、 犬式、MATSUMOTO ZOKU BAND、RaBiRaBi、児玉奈央、やじぃ&かむあそうトライブス、イマジン盆踊り部、スパンコールズ、ほか
Dr.SEVEN& ECSTASY TWINSwith BIANCA
8月30日(金曜日)19:00〜19:45 RAINBOWSHOW@Rainbow Lounge
※駐車券は8月10日にソールドアウトしていた参加協力券(チケット)と駐車券が、臨時駐車場が確保できたことにより追加販売決定。今回の追加分の完売により販売終了(当日券は一切なし)。追加チケット販売にともない、主催からメッセージが発表されている。
【販売開始】 8/20(火)昼12時〜
【販売種別】 参加協力費、駐車場チケット、ありがとうチケット
【販売枚数】 規定枚数に達し次第終了
【販売方法】 Peatixにてオンライン販売
皆さまへのお願い
会場にはキャパシティがあり、駐車場、テントサイト、トイレ、水場など、すべての要素を考慮して、祭りとしてできる限りの受入れを考えました。
本当にこれ以上は受け入れられない点をご理解頂きたいと思います。
すでに購入済の参加者の方も含め、ご不便をおかけする場面もあるかと思いますが、どうか譲り合いの心で過ごして頂けないかと思います。
特に駐車場はかなり広範囲に渡るため、会場までシャトルバスで移動する形になります。
(近隣に駐車チケットをお持ちでない参加者が駐車できるスペースは一切ありません)
会場周辺には複数の集落があり、地元の方々は祭りとは関係なく日々の暮らしを営んでいます。集落内や駅、公道上、空き地など近隣のあらゆるスペースに違法駐車やゴミの投棄があると、開催中でも祭りの続行ができなくなる可能性があります。
いのちの祭りを大切に思ってくださるなら、絶対におやめください。
チケット完売後のチケット販売に関する問い合わせも控えて頂けるようお願いします。
問い合わせには複数人で対応していますが、現状でもかなりの数の問い合わせを頂いており、本当に対応が必要な事柄に時間を使わせて頂きたいと思います。
(問い合わせ頂いてもどうにもできないため、申し訳ありませんが返信はいたしません)
今回の受入れを模索する中で、爺ヶ岳スキー場に『虹の村2024』が誕生しました。
鹿島槍スキー場とはシャトルバスで約10分の距離で、助け合い・シェアし合いがテーマのキャンプサイトです。夜はゆったり過ごしたい方はこちらもおすすめです(参加協力費・駐車場チケット必要。特別なチケットは不要です)。
当日の会場受付付近にも、乗合い希望の待機場所を設けます。
ぜひ助け合って頂けたらと思います。
今回ご縁のあった皆さまと、会場でお会いできるのを楽しみにしています。祭りの中ではいろいろな局面もあるかと思いますが、どうか労わり合い、慈しみ合いながら過ごしましょう🌈
よろしくお願いします!
いのちの祭り実行委員会
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