【SOIL & "PIMP" SESSIONS】5人の「今」の音。クラブミュージックとしての進化系。

SOIL & "PIMP" SESSIONS

長く6人で活動を続けてきたソイル。5人になることでどんな変化が現れてくるのか。マイナスになったのではなく、プラスされたサウンドが聞こえてくる。

文 = クリススカル text = Sukaru Kuris

写真 = 伊藤愛輔 photo = Aisuke Ito


ー SOIL & "PIMP" SESSIONSが5人になって再始動したのが去年の春。そして5人になっての初のアルバム『DAPPER』がリリースされました。制作過程や気持ちの持ちようなど、どんな変化があったのでしょうか。

秋田 制作で前とだいぶ違うのは、ほぼイメージができあがっている曲をみんなで完成させていくというパターンになってきています。データ上でできあがっているものに対してどうアプローチしていくかっていう。

タブゾンビ 社長がコンセプトを担っていて。ある意味、社長がプロデューサー的な立ち位置にいましたね。社長はアシッドジャズから大きな影響を受けているので、社長が描いていた作品は多分そういうものだったんじゃないかと。


ー クラブミュージック的な要素が増しているということですか。

タブゾンビ ということよりも、DEATH JAZZをやっていない。ソイルからDEATH JAZZを引いたアルバム。聞いていて自然と腰が揺れるような、そんなアルバムです。


ー ソイルといえばDEATH JAZZというイメージでしたけど。

タブゾンビ みんなのベクトルが、今そっちに向いていないというか。全員の気持ちがこういう感じなんですっていうことが表れている。

秋田 かつてのソイルのような作品の作り方をしていたんだけど、社長が持ってきた曲でいいものが多かったから、コンセプトもそこに寄せていったらどうだろうっていうアイデアが出てきたんです。

タブゾンビ 前のソイルは、ひとりひとりの作品がゴツゴツしていて、バラエティに富んでいてそれも良かったんだけど、『DAPPER』はもっとこう流れで聞けて、すごく気持ちいいなって自分でも思います。

ー 4月の〈SYNCHRONICITY〉で会ったときも、こだわりを持って制作を続けていて、5月リリースだというのにまだレコーディングが終わっていないと言っていたのが印象的でした。

タブゾンビ 録って、ミックスして、車のなかで聞いて、「あれ? やっぱこうしたほうがいい」の繰り返しですよ。車のなかって日常じゃないですか。日常でどういうふうに聞こえるか。今年のソイル全体のテーマが「まあいいかはやめよう」っていうことだったんですよね。「まあいいか」な中途半端で終えない。


ー 社長のプロデュースということですけど、今までのソイルとは明らかに違う音が聞こえてきます。

タブゾンビ 俺らはひとりひとり好みが違うんです。フォークを聞いている人間もいれば、ロックを聞いている人間もいる。メンバーの共通言語がジャズだったということ。


ー ソイルとしては、今後、こういう方向性に進むっていうことですか。

秋田 自分たちはこうだとか決めないことがソイルのいいところなんじゃないかと思います。

タブ やりたいことをやるだけ。それがソイルですね。だから音楽としてみんなが共有できるものであれば、別にホーンがメインでなくてもかまわない。音楽性重視でどんどん変わっていっていい。今やりたいことをみんなでやる。それだけのような気がしますね。

ー じゃあライブでも変化がありそうですね。

タブゾンビ ライブでも今までやっていなかったことをしていますから。みんなの期待を裏切る。期待を裏切ってこそ芸術だと思うんですね。予定調和な芸術なんていらないと思うし、なんだって最初は否定されるんですよ。マイルス・デイビスがエレクトリックに行ったときも、みんなブーイングしていたわけだし。

秋田 予定調和を否定するつもりもないんですけど、その瞬間にみんながいいと思ってやっていれば予定調和でもいい。その瞬間のメンバーの意識の共有が大切なんだと思っています。DEATH JAZZをやるときもあれば、新しいスタイルのソイルのときもある。


ー そういえば、タブさんの故郷である鹿児島で10月にフェスが開催されますね。

タブゾンビ 〈THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL〉といって今年初開催なんですね。俺は発起人のひとりなんですよ。

秋田 タブちんがすごく頑張っていて、鹿児島にしょっちゅう帰って、フェスを盛り上げようとしていますから。

タブ 鹿児島から文化を発信したい。明治維新から今年で150年なんです。ゆくゆくは音楽だけではなく、スポーツや食などとも絡め、全国から鹿児島に人が集うようなフェスにしていきたいと思っています。今年は2日間で2万人のお客さんを目標にしています。


Profile;
2001年、東京のクラブイベントで知り合ったミュージシャンが集まり結成。2016年10月にオリジナルメンバー元晴(sax)の脱退が発表され、充電期間に突入。翌年2月に5人で活動を再開。今年もヨーロッパツアーを行うなど、世界基準で活動を続けている。http://www.jvcmusic.co.jp/soilpimp/


CD DAPPAER;
5人になって初となるフルアルバム。あらゆる世代、ジャンルを超えて、ソイルだからこそなし得たゲストが集結。ジャズを基軸に、ヒップホップ、エレクトロ、R&Bが交差した最新型ソイルを体現。


THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL;
開催日:10月7日(日)~8日(月・祝)
会場:桜島多目的広場&溶岩グラウンド(鹿児島県鹿児島市)
出演:SOIL & "PIMP" SESSIONS、ACIDMAN、EGO-WRAPPIN’、
SPECIAL OTHERS、ペトロールズ、打首獄門同好会、他
https://www.great-satsumanian.jp/

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