WORLD FEST REPORT 【Wonderfruit(Thailand)】ピースフルで最先端、雨の降らないタイのフェス 。

タイのリゾート地として知られているパタヤ郊外で開催されている「世界最先端」と噂されているWonderfruitへ。4日間毎日がオールナイト。サステナブルな視点も感じさせてくれる。


文=長谷部 敦 text=Atsushi Hasebe
写真=宇宙大使☆スター photo=Uchutaishi☆Star

 タイで開催されている野外フェス、Wonderfruitは2014年にスタートした比較的新しいフェスで、ビーチリゾートとして知られている街、パタヤの郊外で毎年12月に開催されている。数万人規模のフェスで、決して巨大フェスというわけではないが、一部では世界 最先端のフェスなんて評判も耳にしていた。昨年(2019年)の12月12日から14日に開催された同フェスに初めて行ったのだったが、本当に驚きの連続だった。

 まず会場に足を踏み入れてすぐに、その会場自体の美しさに感心した。なだらかな丘陵にある会場は実に広大で、その各所に数え切れないほどのベニューがある。感嘆したのは、そのほとんどが竹や木材で作られているということ。バーニングマンのステージも手掛けたスタッフが作ったというステージや、タイの伝統的な建築方式で作られた会場など、そのどれもが美しいのだ。アート作品やインスタレーションも数多く、それを見るだけでも楽しめるほどであった。

 照明や音響の施設もほとんど竹と木で作られている徹底ぶりで、これはもちろんサスティナブルを強く打ち出してるフェスだから。使い捨てのプラコップは禁止されているし、スタッフの数が多いこともあってか、ゴミも実に少なく、その点でも美しいフェスであった。エコロジーや環境にまつわる展示やカンファレンスも数多く、会場内に畑まであり、 自然農法を体感できるのには感心した。それら音楽以外のコンテンツも実に多く、様々なワークショップやショーなども催されており、昼間はファミリー客も少なくない。

 とはいっても、もちろんメインは音楽フェス。その点でも驚きの連続だった。まずはそのステージ数の多さ。プログラムに載っているベニュー数は15だが、それ以外にも隠しステージや小さなブースがあり、その数は数え切れないほど。実に多様な音楽を楽しめるし、発見もあった。エレクトロやテクノといったダンスミュージックがメインではあるが、タイ現地の歌謡バンド、欧米やマレーシアのオルタナティブなバンドなども出演。日本ではあまり見られないアジア諸国のDJたちのプレイにも驚かされた。煌びやかなライ ティングで演出されたステージがある一方、ソファやハンモックが用意されておりゴロ寝しながら楽しめるスペースもあったりする。ゴザが敷き詰められた会場で裸足で踊るというのも新鮮な体験だった。そして、それらが4日間ずっとオールナイトで開催されいるという点も大きな魅力。欧米の注目アーティストの出演は深夜帯から明け方にかけてが多く、昼間の暑い時間帯を避けて夜だけでもたっぷりと楽しめるわけだ。

 ちなみに、この季節のパタヤは雨がほぼ100%降らないとあって、施設的にも客的にも雨対策 が不要というのも日本のフェスに慣れた身には新鮮だった。フードのレベルの高さやオールキャッシュレス化されていることにも感心した。そして何よりフリーダムでピースプルな空気感が素晴らしく、毎年行ってみたいと思わせるフェスであった。 

Wonderfruit

10-14 DECEMBER 2020


0コメント

  • 1000 / 1000