2024年10月に開催されたドノヴァン・フランケンレイターの来日公演のオープニングとして初来日を果たしたジギー・アルバーツ。オーストラリア発のオーガニック感あふれるシンガー・ソングライターだ。18歳でストリートでライブをするようになってから10年あまり。7枚目のアルバムが2025年2月21日にリリースされる。
–––– まず生まれからお聞きしたいんですけど、生まれたのはオーストラリアのどちらなのですか。
クイーンズランド州のサンシャインコーストです。病院などではなく、自宅出産でした。家の小さなバスタブで生まれたんです。
–––– どういう子供時代だったのですか?サーフィンをやるとか、音楽が好きだったとか。
本当にオーストラリアではお決まりのような子供時代でした。木に登ったり、サーフィンをやったり、スケボーをやったり。合気道も実はやってたんです。自然に囲まれた小さなコミュニティの中で育ちました。
–––– 音楽はいつぐらいに始められたのですか。
音楽が好きで、すごい小さな時から聞いてたんですけども、楽器を弾き始めたのはかなり遅くて、16歳でした。義務教育が終わる中学卒業とともにギターを弾き始めたんです。そこから頑張って、追いついて(笑)。
–––– ライブをやるようになったのは、ギターを始めてからすぐだったのですか。
16歳の時にギターを始めて、1年後にはパフォーマンスを始めていました。そしてその翌年の2013年には自分がやっていたアルバイトとか仕事を全部やめて、ストリートパフォーマーになったんです。
–––– なぜストリートパフォーマーになろうと思ったのですか。それだけ音楽に惹かれた?
その質問は誰にも聞かれたことがなかったですね。自分でも考えたことがなかったです。人と接するのも好きで、ライブするだけでいろんな人に会えました。毎日が冒険のようでもあったし、それが刺激的でしたし、楽しかったんです。
–––– その時も自分の作った歌を歌われてたのですか?
最初はカバー曲ばかりでしたね。自分の歌は1曲か2曲しかなかったので。けれど1年後には自分のEPをリリースして、2年後にはファーストアルバムをリリースして。
–––– 最初にストリートでパフォーマンスした時ってどんな感覚でしたか?恥ずかしいとか自分が開放されたとか。
恥ずかしさもあったし、スリルも感じる時もあって。その繰り返し。成功しては失敗して、成功しては失敗してって感じだったんですよね。でも本当にリアルを感じられて。オーディエンスの人たちとの間には境界線やバリアがないので、自分にとっては有意義でしたし、その体験が今に生きています。
–––– 歌のテーマはどんなものが多いのですか。
自分の人間関係や自分の経験が多いですね。人間同士についてもあるし、人間と自然との繋がりもあるし。最近ちょっと興味があるのが神道について。新しいアルバム『New Love』の最後に収録されている「Singing for Country」という曲の歌詞に、「I belong to you、You don’t belong to me」というのがあるんです。それは自分と誰かの関係のように聞こえているけれど、同時に自分と自分の国や地球との関係性についても意味もしてるんです。小さいものとすごい壮大なものとの繋がりについて。神道については、自分と神とも繋がりみたいなところにすごく関心があるんです。神は地球のことかもしれないし、自然のことかもしれない。日本に来てから、神道のことや仏教のことをみなさんからお聞きして、すごくおもしろく思ったんです。
–––– プロフィールに、シンガーソングライターとともに作家と書かれていましたが、作家というのは小説を書かれてるということですか。
現在まで2冊を出版しているのですけど、いずれも詩集です。今は、子供向けの本を書いています。もしかしたら童話になるかもしれない。それとフィクションも書いています。
–––– その詩集は歌詞ですか。それとも歌詞ではない詩?
テーマが似てることあるんですけれども、ほとんどが歌詞(リリック)ではなく詩(ポエム)です。ポエムをライブで披露することはありますよ。
–––– ポエムとリリックは、ジギーさんにとって違うものですか?
歌詞は表現なんです。いっぽうポエムはもっと内面的というかメディテーションというか。自分を映し出すようなものなんですね。ポエムには陰陽があるというか。ポエムは音楽の後に始めたんです。メディテーションのための書くようになったんですけど。
–––– 他にメディケーションでやってることはあるんですか?例えばヨガだったり。
瞑想をやっています。ただ座って、何も考えないようにする。1年で300日はやっていますね。日常のルーティーンとして朝にやっています。それとショーの前にも。座って、自分自身を内側から観察する。すごくシンプルなんですけれども、自分の呼吸に合わせて瞑想しています。
–––– 素晴らしいですね。ライブで歌っている時は、どんな心境というか、どんな感覚なのですか。
一番わかりやすく表現すると、ステージ上での妄想。自分の中を空っぽにするんです。演奏してる時っていうのはいい意味で何も感じずに、その曲を演奏している自分だけということを意識している状態にしてるんですね。プレーしてる自分がいて、みなさんの顔など、自分の目で見ているものが自分の中に入ってくる。空っぽな状態にみなさんのエナジーが入ってきて、それに反応して自分からまたみなさんにエナジーを返していく。その循環みたいな感じですね。ある意味、ライブ全体が瞑想になったらそれが一番素晴らしい時間。小さな会場でも大きな会場でも、疲れていても興奮していても、同じような落ち着きってものを作り出せるっていうことが、自分の中の理想の状態です。
–––– 最後に今後どんな歌を作っていきたいですか?
次に作る音楽っていうのは、そのひとつ前のアルバムが影響すると思うんです。『New Love』は、自分にとってのフォークとポップとカントリーなんですね。だからその次に作るものはフォークとポップとロックになるような気がします。自分にとってはすべての作品、アルバムの1枚1枚がそれぞれチャプター(章)になってるんですね。これからどういうものなっていくかはわからないんですけれども、自分にとって正直な、真実の自分を差し出した、その時の自分を映し出した音楽を作り続けていくこと。それが自分に課した唯一の使命なんです。
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