【JACK JOHNSONライブレポート@東京ガーデンシアター】変わらないことこそ美しい。

 2003年の朝霧JAMで初来日以降、フジロックへの出演も含めると2000年代は毎年のように来日してライブいたジャック・ジョンソン。東日本大震災が起こった日は来日中で、3月11日は大阪でライブ。その後に仙台や東京(武道館)などで予定されていたライブはキャンセルになった。単独ツアーとしては、それ以来、13年ぶりのステージだった。

 キーボードのザック・ギル、ベースのメルロ・ポドゥルフスキ、ドラムのアダム・トポールという、ずっと変わらないメンバーと共にステージに上がった。オープニングナンバーは「ロデオ・クラウンズ」。G・ラヴが自身のアルバムにこの曲を収録したことで、ジャックのデビューに繋がっていった。シンガー・ソングライターとしてのジャック・ジョンソンの物語は、この曲から始まったと言っていい。

 ジャックはすべてに対して優しい。それは自分が作った歌に対してもそうだし、一緒に音を奏でるメンバーに対しても変わらないし、会場に詰めかけたファンに対しても同じだ。「変わらなくていいんだよ」ということを、伝えてくれているように感じた。ジャックから贈られてくる一曲一曲に、ファンも暖かい反応を返していく。

 4人の後ろに映し出される映像や照明も優しさに包まれていた。映像は波や空など自然のものであり、照明は夕陽など自然を感じさせてくれるものがほとんど。室内でのライブであるにも関わらず、野外にいるような気持ちにさせてくれる。

『ブラッシュファイアー・フェアリーテイルズ』でデビューしたのが2001年。そして9枚目のオリジナルアルバムの最新作「ミート・ザ・ムーンライト』は2022年のリリース。20年以上の集積を2時間にまとめたようなライブだった。アンコールではアコースティック・ギターを抱えてステージに上がった。最後の曲「ベター・トゥゲザー」の途中からバンド・メンバーが加わりフィナーレを迎えた。

 会場に詰めかけているのは、長きに渡ってジャック・ジョンソンの音楽を聴き続けているというようなファンが多い。コロナ時代を経て、古くからの友人にやっと再会できた。そんな思いを持った人もきっと多かったに違いない。個人的には、ジャックのギターテックであるブギーを「古くからの友人です」と日本語で紹介したことにグッときた。ブギーはストリング・チーズ・インシデントのギターテックも務めていた、自分にとっての古き友人のひとりだ。

 音楽で言えばCDからサブスクへ。時代は急激に変わっている。しかしもっとも真にあって大切なものは、いつになっても変わらない。ジャックのライブは、そんなことを伝えてくれた時間だった。

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