サーフィン文化を 日本に定着させるために。【進士剛光(RINE SURF)】

進士剛光(RINE SURF)
目の前に海が広がり、当たり前のようにサーフィンをするようになった少年はプロサーファーとして世界の波にも乗るようになっていた。海への感謝を込めて、サーフィンの魅力を伝えているpatagoniaのアンサダー。

文 = 宙野さかな text = Sakana Sorano
写真 = 宇宙大使☆スター photo = Uchu Taishi ☆ Star


ー サーフィンをやるようになったのは何歳の頃でしたか?

進士 親が言うには3歳のようです。自分では覚えていないんですけど。親がサーファーでしたから。


ー 生まれが下田?

進士 そうです。家から海がすぐで、サーフィンが生活のなかにあるという環境でした。


ー サーフィンのプロになったのは?

進士 19歳のときです。サーフィンが好きで、上手になりたいと小さな頃からずっと思っていて。そのひとつの目標がプロだったのかもしれません。サーフィンをしていると友だちがいっぱいできるんですよね。高校くらいまでだったら、同じ年で同じ学校でというくらいしか友だちが作れないんでしょうけど、サーフィンを通して、他のところの人とも仲良くなれたし、年齢の離れた人とも知り合えた。いいことも悪いことも全部教えてもらって(笑)。


ー 下田の海はサーフィンにとってはどんな環境なのでしょうか。

進士 自然が残っていて、海の水はきれい。ライフスタイルとしてサーフィンが残りやすい波だと思います。サーフィンをスポーツとして考えているよりも、楽しみとしてとらえている人が多いと思いますね。


ー それでは進士さんにとって海はどんな存在なのですか。

進士 やっぱりないと困りますよね(笑)。海で仕事もさせてもらっているし。自分が生きている場所ですね。海が何らかしらの答えを教えてくれる。海に入る前とか後に、海に対して祈ることがあります。サーフィンをさせてくれた親、身近にある自然環境、そして現状や未来。心のどこかで海に感謝しているんでしょうね。


ー 当たり前にあるものこそ、本当はもっとも大切なものであると。

進士 山も川もきっと同じようなものなんでしょうね。特に自分に縁が深かったのが海であって。ただ同じような環境で生まれ育っても、他の土地に行ったり、海とはまったく関係ない仕事に就く人のほうがむしろ多い。だから自分は恵まれているんだと思います。

ー 進士さんにとってのサーフィンの魅力とは?

進士 単純に海に入っていると気持ちいいですから。海に入って波を待っていると、いろんなことを忘れられる。それがいいんでしょうね。自然を相手にするスポーツだから、ある程度自分で環境を作らないとやれないスポーツなんですよね。そのちょっとした特別感も魅力のひとつですね。


ー 5年前にスクールをスタートさせました。それはサーフィンをする人を増やしたいという思いからなのですか。

進士 サーフィンの人口って、テニス人口よりも多いらしいんですね。だけど未だに不良のスポーツというイメージもついてしまっている。だからサーフィンより他のスポーツをやらせたいと思っている親御さんも少なくないようなんです。オーストラリアとかに行くと、日本は海に囲まれれているのに、なんで海のスポーツをやる人が少ないんだって言われるんです。サーフィンをすることによって、自然のことも少しは考えるようになる。サーフィンをやってくれる人を増やすことが、これからの自分の活動かなと思っているんですね。


ー ずっと海のそばで暮らしていて、海の自然環境の変化を感じることはありますか。

進士 変えているところと変わっていないところがあると思います。プラスチックの海洋汚染などがニュースとなって一般の人でも考えてもらうきっかけになるのはいいことだと思っています。人間が生態系を壊している部分も、大きな視野で見れば確かにあると思います。ただひとりひとりが大きなことを変えようとしても難しいんですね。落ちてあるゴミを拾うとか、海に感謝するとか。身の回りの小さなことから気を配っていくことが大切だと思いますね。それと便利なもののほうがいいという時代になっていますけど、不便なもののほうが有効なことも多い。そんな些細な積み重ねが、最終的には自然環境につながっていくと思っています。


ー 今、どんな夢を持っていらっしゃいますか。

進士 サーフィンに関わったことがない人が、ひとりでも多くサーフィンをしてくれたらいいなあと思っています。去年、ゲストハウスをオープンさせたんですけど、そこにつなげるためのゲストハウスでありスクールなんです。親がやらせたいスポーツのひとつとしてみてもらえるようにしたいし、サーフィンを文化として多くの人に認めてもらえるような存在にしたい。それが自分が持っている大きな夢ですね。


進士剛光(RINE SURF)
自然があふれる下田で生まれ育ち、物心ついたときには毎日海に入るようになっていた。19歳からプロサーファーとして世界を転戦。サーフィン文化の発展のために「RINEサーフィンスクール」を設立。「ゲストハウスinside-y」も運営している。http://rinesurf.jp/ http://inside-y.jp/


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