【結い市インタビュー】街の伝統を次世代に受け継いでいくための街なかフェス。

フェスの欠かせないコンテンツにマーケット(出店)がある。マーケットをメインに、結城市の街なかで無料で開催されているイベントが結い市。今年で9回目の開催となる。どんどんd街なかにある商店街が寂しくなっていく時代にあって、どうすれば人を集め、活性化できるのか。そのひとつの道が結い市で展開されている。『結い市』実行委員会の野口純一さんにインタビュー。

–––– 今回で9回目となる結い市。秋のイベントとして注目を集め、そして認知も高まってきていると思います。そう実感したのは何年目くらいからですか。

 4回目あたりからですね。3回目に某ランキング情報番組で結い市が開催前日に放送されて、過去最大の動員数(3万人)がありました。その回は完全にメディアの力で、ただただ街に人が溢れるようなパニック状態で市民みんなが驚きました。翌年、運営メンバーで本来自分たちが見せたい街の風景についてもう一度話し合い、丁寧に創り上げながら開催することで結い市の土台(コンセプト)が固まったと思います。街の人も凄い人数が来た次の回(4回目)ということもあり、地域の協力体制も期待感もより強固なものになり、改めて認知されたイベントになったと感じました。

–––– 去年はどれくらいの来場数でしたか。

 2日間天候にも恵まれ、例年より少し多い2万1千人の来場数でした。

–––– 「市」ですから出展がイベントの中心だと思います。出展者はどんな特徴を持っていますか。

 ジャンルはさまざまですが、「手しごと」から作品を生み出す出展者さんが多いです。商品ではなく作品です。特に服やアクセサリーなど身に着けるものを扱う作家さんが比較的多いです。きものの街ですし、自分もファッションが基盤にあるからですかね。結城は結城紬をはじめ、モノづくりの街です。ただ地場産業が衰退している今、そんな街のイメージも希薄になっています。手しごとで生み出されるモノを扱う出展者(作家)さんを多く集うことで、もう一度モノづくりの街のイメージを復興できたらと思います。

–––– 今年は「街の色をつくる」というテーマですが、どういう色を結城につけたいと思っていますか。

 今回のビジュアルの写真の中に和室からお庭を眺めている写真があるのですが、谷崎潤一郎 の「陰翳礼讃」に習って撮影しました。当時明かりがなかった時代は、現代の生活と違った日本の美の感覚だったといいます。生活と自然とが一体化し、真に風雅の骨髄を知っていた日本人の芸術的な感性や風景がこの街には未だ残っています。主体は、色のないモノクロの街。そんな何色にも染まっていまない、街にさまざまな感性を持つ方が集まることで、それぞれの色(特徴)が付くエリアに構成されても良いかと思っています。

–––– ライブやパフォーマンスのタイムテーブルは発表されるのですか。

 はい。ライブのタイムテーブル発表します。ただ街なかで行われるパフォーマンスに関しては神出鬼没でゲリラ的に行われる方が、来場される方も楽しみにしてくれるので、あえて発表していません。

–––– 結い市に遊びに来て、どんな楽しみ方をしている人が多い印象ですか。

 一番は市(マーケット)ですので、買い物をされる方が多いです。次に音楽ライブですね。豪華アーティストがフリーで楽しめるのは特徴かと思います。1日目は神楽殿のステージで、先日のりんご音楽祭にも出演したannie the clumusy、今年はフジロックのフィールドオブヘブンステージで圧巻のパフォーマンスを魅せたjizueが出演します。2日目はITTO×miida2×JUN INOUEの3組によるコラボパフォーマンスが実現します。ステージは街なかでとなり、結い市としても初の試み、きっと特別な時間になるハズです。

–––– 結城はどんな町ですか。

 結城市は、人口規模5万弱と小さな街ですが、歴史と文化がたくさん詰まった魅力的な街です。ユネスコ無形文化遺産に登録された「結城紬」をはじめとする歴史的な地域資源が多数存在します。また街なかには「見世蔵」と呼ばれる蔵づくりの店舗が30棟現存しており、歴史的建造物として市も国の登録文化財への指定を進めています。その他にも与謝蕪村や徳川家と関わりがあって、歴史的にいわれのある多くの寺社もある、歴史と豊かな文化背景が息づく街です。ただ、こういった地域資源があることがわかっていても、うまく活用できなかったのですが…。少しずつ結いプロジェクトの活動を通して地域資源の活用方法についても見出されてきています。

–––– このイベントを、どう結城の日常につなげていきたいと思っていますか。

 千年続いたまちを次の世代につなぐために、まずは今、街に生きる人々がつながり、支え合う関係をつくること。地域と密接に関わったイベントが、地域の新しいエネルギー源になればいいなと思っています。こういった活動を続けることで街の新陳代謝を図るいい意味での起爆剤になって…。定住化促進や新規出店者など新しい街をつくるきっかけになれればと思います。結城市は元々モノづくりの街です。こういったクリエイティブな活動を続けることで同じ価値観を持つ仲間が街に増えていったら最高です。

結い市

開催日:10月7日(日)8 日(月・祝)

会場:健田須賀神社ほか結城市内各所

出演:jizue、annie the clumsy、MIIDA2、ITTO、JUN INOUE、ほか


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