月は鳴っている。2時間のロング・ストーリー。テデスキ・トラックス・バンド『アイ・アム・ザ・ムーン』4作品を28日ごとに連続リリース。

 テデスキ・トラックス・バンドの『アイ・アム・ザ・ムーン』のリリースがはじまった。今回の『アイ・アム・ザ・ムーン』シリーズ、 『I. クレッセント』『II. アセンション』『III. ザ・フォール』『IV. フェアウェル』という4枚のアルバムからなる作品集だ。『I. クレッセント』の発売日は6月3日で、28日ごとに一作品が発表されていく。28日というのは、月が地球の周りを一周する時間に近い。

『I. クレッセント』はデレク・トラックスのスローなギターソロからはじまる。そしてスーザン・テデスキがデレクのギターとリンクしていく。

 4枚のアルバムで24曲のオリジナル曲を収録した壮大なプロジェクトは、バンド全員で12世紀のペルシャの詩人ニザーミーの書いた「ライラとマジュヌーン」の物語にインスピレーションを受けて創造していったという(ちなみに「ライラとマジュヌーン」は、デレク・アンド・ドミノスの『いとしのレイラ』のタイトル・インスピレーションにもなっている。2019年8月24日に行なわれた「LOCKN’ Festival」でテデスキ・トラックス・バンドは『いとしのレイラ』をカバーし、この時の演奏はライブアルバムとして発表している)。合計すると2時間以上に及ぶ音楽は、様々な音楽の要素が内包されている。そのひとつひとつを独立させたり組み合わせたりすることで、物語はさらに大きなものに聞こえてくる。

『アイ・アム・ザ・ムーン』を4つのエピソードで構成してリリースすることを決めたことに関し、デレクはジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの1967年の『アクシス:ボールド・アズ・ラヴ』を引き合いに出し「自分たちの好きなレコードを考えはじめたときに決めた。『I. クレッセント』の収録時間は36分。それがレコードを満足に消化する手段のひとつかもしれないと」と語っている。

 コロナ禍にあって、ライブができないことによって生み出された音楽表現。だからこそ、優しいし深い。ライブでも人気の高いテデスキ・トラックス・バンド。この作品をどうライブで表現していくのか興味深い。

 各アルバムに付随した映像作品『アイ・アム・ザ・ムーン:ザ・フィルム』も用意されている。アルバム発売の3日前(日本では2日前)にバンドのYouTubeチャンネルを通じて公開されるという。

Photo©David McClister

UCCO-1235『アイ・アム・ザ・ムーン: I. クレッセント』2022年6月3日発売

UCCO-1236『アイ・アム・ザ・ムーン:II. アセンション』2022年7月1日発売

UCCO-1237『アイ・アム・ザ・ムーン:III. ザ・フォール』2022年7月29日発売

UCCO-1238『アイ・アム・ザ・ムーン:IV. フェアウェル』2022年8月26日発売

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