数々のロック・マジックがここで生まれた。イギリスの滞在型スタジオ、ロックフィールドのドキュメンタリーが公開中。

 映画『ボヘミアン・ラブソディ」でも、クイーンの名曲「ボヘミアン・ラブソディ」が生まれたスタジオとして登場するロックフィールド。ロンドンから西へ200キロあまり。エルヴィス・プレスリーのロックに感化されたキングズリー・ウォードとチャールズ・ウォードの兄弟によって、ウェールズのモンマス近郊の農場にスタジオが設立されたのが1963年のことだった。そして65年に世界初の滞在型の音楽スタジオが誕生した。

 このロックフィールドの軌跡を追ったドキュメンタリー映画が「ロックフィールド〜伝説の音楽スタジオ』。ブラック・サバス、ホークウインド、クイーン、シンプル・マインズ、イギー・ポップ、ロバート・プラント、オアシス、ザ・ストーン・ローゼズ、ザ・シャーラタンズ、マニック・ストリート・プリーチャーズ、コールドプレイ…。このスタジオでは数々のロックの名曲が生まれた。それぞれのミュージシャンが、スタジオへの思いを語る。

 なぜこのスタジオがミュージシャンから愛されていたのか。その結果として名曲が生まれて行ったのか。そのことが綴られていく。ロンドンという都市からの距離。宿泊可能な滞在型という特性。スタジオから一歩外に出た時の自然。それらが複合的に、ミュージシャンのクリエイティブをアップグレードしていったのに違いない。ヤンチャなオトコたちが、自由でいることで生み出していったロック。ロックフィールドを利用した多くが、ギターバンドだったという。

 バンドのメンバーが同じ場所で時間を過ごし、音楽を奏でることで、レコーディングでもマジックが起きた時代。その時代を「いい時代だった」と振り返るのではなく、マジックが起こることこそがロックの本質なんだということを教えてくれる。ロックフィールドが、イギリス、そして世界の音楽に伝えてくれたものを再確認する映画だ。

ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ

監督:ハンナ・ベリーマン 

撮影:パトリック・スミス 

編集:ルパート・ハウスマン 

音楽:アレクサンダー・パーソンズ

出演:キングズリー・ウォード、チャールズ・ウォード、オジー・オズボーン、ロバート・プラント、リアム・ギャラガー、クリス・マーティン、ティム・バージェス、ジム・カー

2020年/イギリス/ドキュメンタリー/シネスコ/96分/2.0ch/原題:Rockfield:The Studio on the Farm

2022年1月28日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開

© 2020 Ie Ie Rockfield Productions Ltd.

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