秋の宵にマッチしたハンバートハンバートの野音ライブ。

 7月におよそ3年ぶりとなる9枚目のオリジナルアルバム『家族行進曲』を発表したハンバートハンバート。幾つかのフェスでふたりのライブを見る機会もあったのだけれど、11月後半まで続くリリースツアーの前半で開催された日比谷野音でたっぷり音世界に浸れることができた。

 9月上旬の日比谷公園。「都会のオアシス」と称されることが多いけれど、まさにこの日はそのことを実感していた。夕暮れのマジックアワーにふたりがステージに立つ。優しい音色が響き始めた。しばらくして気がつくと、ステージから発せられる音に秋の虫が呼応するかのように鳴き始めた。虫たちの鳴く声を「虫の音」と呼ぶけれど、アコースティックなサウンドに自然の音は妙にマッチしていた。まさにこの日のハンバートハンバートは、ふたりでいる時も、バンドメンバーと音を奏でる時も、周りの音たちがあたかもオーケストラのメンバーのようになって、ハーモナイズされていた。

 今回の日比谷野音のタイトルは「ハンバートハンバート行進曲」。二部構成で、アンコールまで全22曲。会場に詰めかけたファンはもちろん、虫たちも、みんなが居心地のいい時間を過ごしたに違いない。

 ユーモアな雰囲気に包まれるハコでのライブも楽しいけれど、自然さえを包み込んでしまう野外のハンバートハンバートのライブは楽しく、そして心地よい。

写真=Wataru Goto

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