yahyel バンドというスタイルに込めた 世界基準のクリエイティブ。

文=クリス スカル text = Sukaru Kurisu


2016年の〈フジロック〉初日。ほとんどのステージでライブが終わっていた午前3時。yahyelのライブを見るためにROOKIE A GO-GOに多くの人が集っていた。フジロッカーだけではなく、フジロックにラインナップされていたミュージシャンも少なくなかった。


 yahyelは、ボーカルの池貝峻、サンプリングなどを担う篠田ミル、シンセサイザーの杉本亘に、VJの山田健人とドラムの大井一彌が加わった5人。2015年に池貝、篠田、杉本の3人で結成され、2016年春にヨーロッパツアーを敢行。国内外で注目を集め出した時期でのフジロック出演だった。そして〈フジロック〉 に2年連続で出演する。ルーキーステージからの2年連続出演は、去年のD.A.N.の例があるがそれほど多いことではない。


「むしろ出られなきゃ困るというくらいの気持ちでいたので、2年連続は基本はないと知りつつ、最低限の目標として達成しなければね、という共通した意識は持っていました」と篠田。


「ルーキーは今年のための入場切符みたいな感覚でした。来年も出るぜって人に言っていたんですね。口にしていたことで運気に変わって、それが戻ってきてくれたのかなって思います」と杉本。


 去年の11月に初のフルアルバム『FRESH AND BLOOD』をリリース。今年に入ってから〈TAICOCLUB'17〉や〈VIVA LA ROCK2017 〉などのフェスに相次いで出演を果たしている。


「去年という1年はバンドにとって濃密な時間でしたね。そして今年になり、ライブとしての規模感は大きくなってきたけれど、こんなもんじゃねえぞっていう傲慢な気持ちも持っています。自分たちが変わったというよりも、周りが変わってきたという印象のほうが強いかもしれないですね。日本のインディーシーンの磁場が変わってきたという実感がありますし、そこで受け入れられて僕らのポジショニングが確立できてきたなって思う反面、別にこれが僕らが持っている最初の目標でもなかったわけですし。自分たちが描いていた行きたかったところまでまったく到達できていない。それが悔しいというか、やっとスタート地点に立ったぐらいなんだろうなと思っています」と篠田。


 池貝、篠田、杉本の3人で音づくりをはじめてからわずか2年あまり。ポスト・ロック、ポスト・ダブステップと呼べるだろう音楽性は、無国籍性であり、世界同時多発的なものに違いない。5人が到達したいと思い描いている地点も、まさにそこだ。


「僕らが聞いている洋楽と同じ土壌でちゃんと受け入れられること。そしてアメリカ、ヨーロッパ、アジアの人たちが、ボン・イヴェールでもジェイムス・ブレイクでも誰でもいいんですけど、そんなアーティストを聞くのと同じように僕らの音楽を聞いてくれること。そういう状況になりたいっていうのが根本にあります」と篠田。


 曲を作ることに限らず、バンド内でいろんなことを話すという。話すことによって、ビジョンも曲も構築され、共有されていく。「曲の制作に関しては、ラップトップを使っているので、出したいと思う音がなんでも出せるんですね。こういう音にしたいというイメージができたのなら、音で直感的にコミュニケーションするのではなく、頭のなかで言語化して捉えることが大切だと思っているんです」と篠田。


 杉本と大井はyahyelの他にDATSのメンバーとして、今年の〈フジロック〉に出演することが決まっている。「僕にとってはyahyel がもっともクリエイティブな存在ですね。何も制限されることなく、何にも媚びることなく、自分たちの表現したいものを自由に、誰もが最大限に表現できる場だと思っています」と杉本。


 メンバーという意識が芽生えてきたのは、CDなどをリリースするようになってからだという。「5人が違う特化したものを抱えているので、5人が揃わないとこうはならないという意識がすごくあります。そしてそれぞれがリスペクトとライバル心を持っている。切磋琢磨しているような感覚がすごくあります。そういう場としてyahyelが機能しているのかもしれないですね。フジロックではクラブとライブという二面性を出したいと思っています。たぶん没入感と熱量ということ。夜中のはじまりという時間なので、入っていっちゃうような感覚が欲しい一方で、バンドが持っているエネルギーの核みたいなものも感じてもらえれば」と篠田。


 y a h y e l のライブはレッドマーキーで金曜23時から行われた。この1年による5人の進化がそこで表現されたことを、多くのファンが目撃した。


関連情報

yahyel

2015年3月に池貝峻、篠田ミル、杉本亘の3人で結成。ライブ活動を本格化させるのに伴い、ドラマーに大井一彌、VJとして映像作家の山田健人を新メンバーに加えた。2016年春にヨーロッパツーを敢行し、11月には初のアルバム『Flesh and Blood」を発表。今年の7月12日に「Iron( アイアン)」と新曲「Rude(ルード)」の2曲カップリング12インチアナログ盤がリリース。昨年のROOKIE A GO-GOに続き2年連続で〈フジロック〉のステージに立った。http://www.yahyelmusic.com/

LIVE情報

10/6(FRI) 大阪@Fanj Twice

INFO: SMASH WEST

10/9(MON) 東京 @WWW X - "WWW & WWW X Anniversaries"

INFO: BEATINK 


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