富山にフェスを定着させるミッション HOTFIELD対談

車谷雅人( HOTFIELD)×EIJI(DACHAMBO)

地元である富山に戻ったことをきっかけに19年ぶりに〈ホットフィールド〉を復活させた車谷雅人と〈ホットフィールド〉ではブッキングなども制作にも関わっているEIJI。再スタートして今年で6回目の開催となる〈ホットフィールド〉の新たな挑戦。


文=菊地 崇 text = Takashi Kikuchi/写真=アリモトシンヤ photo = Shinya Arimoto


8月第1週への変更。

 去年の9月から、今年は8月上旬に開催時期が変更になりました。どんな理由でこの時期に決めたのでしょうか。

車谷 80年代にスタートした当時の〈ホットフィールド〉は、7月終わりか8月のはじめに開催していたんです。去年は9月でしたけど、暑い最中の〈ホットフィールド〉でいいんじゃないかと。

EIJI 帰省で帰る人も含め、地元の人にとってどのタイミングがフェスに行きやすいか。富山の場合、やっぱり夏休みということになるんですね。他のフェスの開催時期も考慮して、この週末になりました。大雨が降った去年のステージで車谷さんは来年は8月に開催すると発表していました。

車谷 〈ホットフィールド〉の最終日になると、「来年はいつにします?」なんて話をスタッフ間でしていますから。みんなが揃っているわけですし。

EIJI 〈フジロック〉の次の週末だけど、新潟からは近いからなんとか大丈夫だろうっていう話になって。

車谷 この5年間を見ると、富山のお客さんが50パーセント、県外からのお客さんが50パーセントなんですね。東京だけではなく、名古屋や大阪から来てくれる方も少なくないんです。〈ホットフィールド〉は遊び場をつくって富山を盛り上げたいということと、富山のことをもっと知ってもらいたいというふたつの思いを持って再スタートしたんです。

EIJI 富山は東京のアーティストがからすれば行きづらい場所なんですよ。ツアーも組みにくい。最初の年はDACHAMBOとして出演させてもらった。バンドではあまり行けない場所だからこそ、フェスで行く意味があると思って。

地元と県外という2方向の視野を持つこと。

 EIJIさんは2年目からスタッフのひとりとして制作に関わり、ブッキングも担当するようになっています。

EIJI 理想と現実のギャップみたいなものはすごくあるんですよね(笑)。どのフェスも最初は理想のタイムテーブルを想定すると思うんです。それに少しずつ近づいているかなって。

車谷 一方で模索も続けている。富山という地域に受け入れられる部分と県外の方に魅力を感じてもらう部分。このバランスが難しいんですね。

EIJI 開催されるフェスの数が多い東京や大阪のシーンにいるフェスファンと富山の方の志向は確かに違うと思います。両方に受け入れられてもらえるような流れにしたいんですよね。

車谷 だから今年は県内からのお客さんを増やせれば、県外から来てくれるお客さんも相対的に増えるだろうと。どっちに偏るわけではなく、どっちも追い求めつつ全体数をあげていくためにはどうしたらいいのか。いわば、そんな挑戦ですね。過去5年間を考えると、富山の人にとっては新しい提案の方が多い印象だったのかもしれないですね。全国のフェス好きを念頭に置いたら、この新しい提案は当たり前のことなんでしょうけど。富山という地域にも新しい情報を発信をしていく。あまり遊び場がない富山のなかで、フェスっていう文化を広げていきたい。そしてフェスから新しい気づきを受け取ってもらいたい。受け取ってくれる人が少しずつ増えていってもらいたいなっていう気持ちが大きいですね。

EIJI フェスのラインナップってコース料理だと思うんです。このコースのひとつひとつのメニューを全部味わったことがある人ってそれほどいないはず。メインディッシュは知っているものじゃなければダメだっていう人もいれば、新しいものでも構わないっていう人もいる。自分たちは自信を持って出しているコースなんだけど、違うコースがいいっていう人が多かった。毎年そう思うのかもしれないですけど、今年のコース料理は美味しいぞって。富山県内の人、県外から遊びに来てくれる人の両方にお薦めできるコースだと思っています。

車谷 フェスにおいてアーティストの比重っていうのは確かに大きいと思います。けれどそれだけでは不十分。会場のロケーションだとか、こちらが提供する会場づくりや雰囲気づくり、様々なホスピタリティー。飲食や物販を含めたすべての要素が一体となって総合力でプレミアム感を出していく。これを〈ホットフィールド〉では目指していきたいと思っています。そこまでやることによって、地方の中規模のフェスが生き残っていける道なんじゃないかと。

EIJI 〈ホットフィールド〉はちょうどいい規模感なんですね。ふたつのステージが交互にライブをしていて、行き来もしやすい。好きな場所に寝転がって音楽を聞くこともできるし。

車谷 同じことばかりを続けていたのなら、たぶん飽きられるのも早いと思います。だから富山としてのおもてなしの要素を入れていかなければいけないし、入れすぎると富山の人にとっては当たり前のことになってしまうだろうし。今年の〈ホットフィールド〉が今まで明らかに違うのは、物販も飲食も、地元の出店が多いんです。フェスに参加するのははじめてだっていう出店も少なくありません。少しずつかもしれないけど、それが地元にも認められてきた証明なのかなって思っています。

EIJI 東京や大阪といったフェスが多い場所からでも来る価値のあるフェスだと思います。

車谷 今年は都市型フェスの要素も入ったラインナップです。それが日本海に夕陽が沈むと言うロケーションのなかで開催される。両日とも、海のほうで花火大会もあるんです。ひょっとしたらステージの向こうに、花火と夜景が一緒に見られるかもしれない。そんな場所って、黒部の〈ホットフィールド〉だけなんですから。

HOTFIELD 2017

日時:8月5日(土)〜6日(日)

会場:宮野運動公園(富山県黒部市)

出演:電気グルーヴ、くるり、Chara、FIRE BALL、DACHAMBO、cero、never young beach、七尾旅人、D.A.N.、水曜日のカンパネラ、他

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