コロナ時代の記録をCDとしてコンパイルする意義。【SAMATA(GRASSROOTS)× BAL(Garden Grove)】

人が何気なく集い、会話のなかから生まれていく町の文化。ストリートカルチャーの核がここにあると言っても過言ではないだろう。コロナ禍でも決してその文化の灯火は消してはいけない。

文 = 菊地 崇 text = Takashi Kikuchi
写真 = 伊藤愛輔 photo = Aisuke Ito


— 横浜GRASSROOTSコンピレーションの2枚目となるCD『LET’S LIVE FOR TODAY』がリリースされました。まずCDとして作ろうとしたきっかけから話してもらえませんか。

S コロナ禍になって、お店の継続のためにクラウドファンディングをしたんです。去年の5月か6月のことです。DRAGON76がクラファンのために絵を描いてくれたんですね。クラファンがみなさんの協力のもとに終えられて、絵を利用して他に何かできなかなって話になったんです。


B GRASSROOTSでは、いろんなミュージシャンがライブをしてきた。ライブもできなくなった状況になって、じゃあコンピでも作ろうかっていう話が自然と出てきたんです。


S THE GRASS ROOTSっていうバンドの「LET’S LIVE FOR TODAY」という曲にインスピレーションを受けて描いた絵だって、DRAGONが描いた絵と一緒に音源を送ってくれて。60年代の曲なんだけど、「今を生きる」っていう歌のテーマは、今のコロナにつながるかなって思ったんです。


— 多くが新しく録音されたものなのですか。

S 新録もあるし、配信だけでCDにはなっていなかったものもあるし、いろいろです。


— そのなかで、どうやって選曲していったのですか。

S 「今を生きる」そして「愛と平和」をコンセプトにして、自分なりに一本の映画のようなストーリーになるように選曲させてもらったんですね。一曲目がNABOWAの「夜明け(DAYBREAK)」で、最後が熊谷ヤスマサの「PEACE OUT」。ピースアウトは「またね」っていう別れを表している言葉なんだけど「SEE YOU」とも「BYE BYE」とは違う響きがあるじゃないですか。コロナという時代になったからこそ、普通にある当たり前の日常がいいよねっていうニュアンスも入れたかったんです。


B 新録音はgnkosaiBANDの「LET’S LIVE FOR TODAY」。このアルバムのテーマであり、このCDが生まれるきっかけになったこの曲をカバーしてもらいました。


S ほとんどがコロナ禍になって作られた楽曲です。それらの楽曲には、コロナという状況になってそれぞれのミュージシャンが感じたことが込められている。ただコンピを作りましたっていうだけでじゃなく、コロナという今の時代をCDとして残したかったという思いもあって。


— 緊急事態宣言が発出されている期間は、ライブだけではなく、ライブペインティングもやれなかった?

B まったくできていないと言っていいと思います。僕としてはCDを作ることで、お店に行くきっかけになればいいなっていう思いもあります。収録されたミュージシャンにしても、曲を知ってもらえるきっかけになるわけだし。


S CDが売れない時代。だからこそ、CDを作るのは今しかないのかなって。例えば10年後20年後に、このCDを手にとって「コロナっていう時代があったよね」って思い出すフックになってもらえればって思うんです。この時代を忘れないためにも。


— 確かに配信では時代を共有する感覚を得られることってなかなか難しいかも。

S アナログもCDも、音楽とジャケットがあって成立していたものじゃないですか。僕らの世代ではジャケ買いも多かったし。ジャケットというかアートに対しても興味を持ってもらいたいという思いもあります。


— ジャケットを見て、歌詞カードを見て。このCDは音楽とアートがお互いをさらに表現しているように感じます。

B このジャケットはAR(拡張現実)も施してあって、アプリを入れなきゃいけないんですけど、絵を立体的に楽しむこともできるんですね。アナログとデジタルの融合というか。

— バーやライブハウスだけではなく、アートを楽しむギャラリーとしてのファクターもあるGRASSROOTSだからこそのコラボ、コンピレーションが生まれたんでしょうね。

B GRASSROOTSに行くと新しい出会いがあるんですよね。SAMAさんが自然とつなげてくれる。


S お店で飲むっていうことは、それだけ高いお金を払ってくれるということ。飲むだけではない付加価値。飾ってあるアートでもいいし、流れている音楽でもいいし、人との会話でもいいし、何かを持ち帰ってもらいたいと思うんですね。


— お店から発信される文化はもっともっと評価されていいものだし、ある意味ではストリートカルチャーってグラスルーツ(草の根)で広がっていったわけだし。いろんな世代に文化をつないでいってもらいたいと願っています。

S 僕らは音楽やアートを通してジャンルに関係なくみんながうまく交わっていた。それがフェスやイベントという形にもなっていたわけです。ジャンルに括られないっていうことは、誰に対しても扉を開いているということ。外から入ってくることも自由だし、内からどこかに出て行くのも自由。いろんな人が行き交って、いろんなアイデアが生まれていく。そんな場所にGRASSROOTSがなればいいし、コロナという時代を現すひとつに『LET’S LIVE FOR TODAY』がなれればいいなって。 


B 自分の立場や役割のなかで伝えていく。発信し続けることって大切なんですよね。


S 音楽もアートって色褪せていかないじゃないですか。それをじわじわでいいから伝えていければと思っています。


GRASSROOTS『LET’S LIVE FOR TODAY』
エッジのあるライブイベントの開催やアート展示&ライブペインティングなどで横浜からカルチャーを発信しているダイニング&バーのGRASSROOTS。2016年以来となる2枚目のコンピレーションCD『LET’S LIVE FOR TODAY』がGarden Groveからリリース。GRASSROOTSに集う様々なミュージシャンのスペシャルコラボ楽曲も多数収録されている。アルバムのアートワークはニューヨーク在住のアーティスDragon76が担っている。https://grassroots.yokohama/ https://www.garden-grove.biz/


横浜GRASSROOTS/Count Down 2021~2022 party 開催!

開催日:12月31日(土)

スタート時間:21時(all night)

出演:Dachambo、元晴(sax)+Yoshihito "P"koizumi(bass)、ほか

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