コロナ禍で多くのフェスが開催中止となった2020年。そしてコロナ禍が続く2021年。多くの人を自分の町に迎え入れ、町の持つ魅力を感じてもらうことを目的にスタートした「結いのおと」。コロナ禍での人流抑制という感染拡大防止という観点からは、町の中での開催を危惧する声は決して少なくなかったはずだ。それでも2年連続して開催に向かう意義を、実行委員会の野口純一さんに聞いた。
–––– フェスの開催が少なかった昨年秋も、結いのおとは規模を縮小して開催されました。終わって、どんなことを感じられましたか。
なんと言ってもお客さまの暖かさです。昨年は1日中肌寒い雨、それでもコロナ禍なので屋外というなんとも過酷な状況下にも関わらず、皆さま終演までお付き合いいただき、お礼のお言葉まで頂戴しました。今年はそんな皆さまのためにも開催したいと強く感じました。
–––– 2021年の秋もまた、多くのフェスが中止や延期という判断を下しています。中止という判断は頭の中に浮かびませんでしたか。
もちろん、浮かびましたし、まだこの時期でもブレーキを踏む覚悟はできています。自分達はタイミングが良かっただけで、中止になったフェスが結いのおとより感染対策が劣っていたわけではない。フェスという文化・音楽文化を繋ぐためにも開催できる責任感を背負いながら、意味のある開催にしたいです。
–––– 会場が町中に点在しているのが結いのおとの特徴です。会場は一昨年までと比べると少なくなっています。今年のチケット販売数や会場は、どのように決めたのですか。
販売数についてはメンバーとお客さんフィジカルディスタンスがはかれる人数と開催できる収支(数字)から決めました。バランスが偏ったら来年以降の開催に大きく響きます。密は当然ダメ。少なくても大赤字となり、チームの解散となる恐れも。この後の活動ができなくなる。双方のバランス、悩みました。会場については、動員キャパの大きい会場で決めました。結いのおとは回遊型のいわゆるライブサーキットフェスです。特徴を削られてしまいましたが、前回に比べたら大きな進歩です。少しずつ復興していきたい。
–––– 地元の自治体からは、開催に対してどんなアドバイスや意見をもらっていますか。
正直アドバイスというよりは、こちらの提案に納得してもらう(許容してもらう)という感じです。長年の活動や実績を加味したうえで築いた信頼関係があっての開催です。くれぐれも防疫の脅威にだけはならないように、僕らなりにできるやり方を探ってきました。
–––– 多くのライブも中止や延期になっている中での開催は、アーティストに対しても大きなメッセージがあると思っています。参加するアーティストから、出演に対してどんな反応がありましたか。
ガイドラインを共有し、助言をいただきました。いまは出演するアーティストにも大きな影響(責任)が伴ってくるので、結いのおとへの当事者意識を例年以上に持って参加していただいております。
–––– やっと緊急事態宣言が解除されました。お客さんを受け入れる側として、どんな変化を感じていますか。
その名の通り大きな波をひとつ越えた安堵感と同時に、また次の波が来るかもしれない緊張感を感じています。安心安全な開催のためには、関係者だけでなくお客さんにもしっかりとした対策意識を持って参加していただく必要があります。体調管理と対策を万全にして、楽しんでいただけたら嬉しいです。
–––– 参加される皆さんには、どんな時間を過ごして欲しいと思っていますか。また参加するにあたって心がけてもらいたい点とは?
結いのおとならではのゆるくリラックスした時間を過ごしてもらえたらと思います。参加するうえでは、ひとりひとりが良くも悪くも結いのおとだけではなく、今後の他のイベント開催にも強い影響力を持っているということを心がけて行動していただけたらと思います。
–––– 町を会場とする結いのおとの開催によって、何かが次に繋がっていくように思っています。
町のポテンシャルを体感し、自分達のようなチャレンジをする人たちに繋がっていって欲しいです。こうした活動を地域を巻き込みながら継続的に行うことで、そんなチャレンジしやすい柔らかい土壌(町)になってきたと思います。土ができたので、この後芽出しに繋がることを祈っています。
開催日:10月9日(土)10日(日)
会場:結城市北部市街地(奥順つむぎの館・新座敷、武勇、Coworking&Cafe yuinowa)
出演:Homecomings、ミツメ、Kan Sano、トクマルシューゴ、TENDRE、JJJ、Campanella、SPARTA、STUTS(with TAIHEI)/鈴木真海子/鎮座dopeness/Ryohu/堀込泰行/奇妙礼太郎/YeYe/羊文学
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