多摩あきがわの森から発信されるコロナ禍の新しいフェス&ライブのスタイル。

 5月から「多摩あきがわLIVE@HOME」が開催されている。初回が5月15日(金)で2回目が5月30日(日)。いずれも配信でのライブ&トーク。豊かな森の中にあるキャンプ場からの配信だった。

 2回目に出演したのが、佐藤タイジ、勝井祐二、そしてMichael Kaneko。限定での集客を目指してのトライアルとして、ライブ配信に関わるスタッフだけではなく、取材として声をかけてもらいこの場に行くことができた。

 武蔵五日市駅から会場に向かって歩いていく。人の暮らしが垣間見える里山の風景は、どこか地方へ行った感覚もある。道から見える家がほとんどなくなり、木々の緑の濃さが道沿いでより感じていたら、森の向こうからサウンドチェックをしている音が聞こえてきた。かつて野外パーティーに行っていたときの記憶がよみがえる。これからどんな時間が展開されるのかという期待がつのってくる感情。新型コロナウイルスによっての野外フェスの中止によって、ライブ自体も久しぶりだったから、余計にワクワクする気持ちが強くなっていったのだろう。

 道から渓流に向かって降りていった先にあるのが会場の深澤渓自然人村。キャンプだけではなく、日帰りのバーベキューとしても利用している人が多いという。かなり広いエリアがあり、そこにステージも常設されている。本番に向けたサウンドチェックが進んでいる。スピーカーから保放たれる音は、STAY HOMEで聞いているものとは確実に違う。

 18時に配信の本番がスタートした。手の空いたスタッフなど20人くらいがライブを楽しむためにステージを囲む。もちろん、人と人とのソーシャルディスタンスは守られている。野外であることから密閉ではないし、ここには三密は存在しない。

 佐藤タイジのソロ、そして勝井祐二が加わってのふたりのセッションと続いていく。「元に戻してはいけな」と佐藤タイジ。

 スタート時点には、まだ明るさがあった空も、次第に群青色を深くしていく。時間の移り変わりを音楽を楽しみながら実感する。これが野外フェスの大きな楽しみのひとつだった。Michael Kanekoがトリオで演奏。最後にふたりが加わって5人でセッションして、この日のライブは終わった。

 多くはなかったけれど、目の前に見ている人がいる。そんな状況でのライブは、佐藤タイジ、勝井祐二、Michael Kanekoとも久しぶりだったという。人がいることで、放出される音が持っている意味合いは深くなる。どう音楽を目の前の人に伝えるのか。そしてそれをどう見ている我々が受け取るのか。そんなライブの原初に立ち戻れたような時間だった。

 今後、多摩あきがわ #ライブフォレストとして継続してライブが行われる予定だ。ある部分では、このライブはローカルフェスのような存在になれるかもしれない。ライブだけではなく出店などもあってもいいだろう。ゆったりとした空間と人とのバランス。音楽と人と作り出すライブという空間。そこに自然が加わることでフェスは多くのファンを獲得してきた。ここにはフェスやライブの新しい一歩のひとつがある。

多摩あきがわ #ライブフォレスト vol.01

開催日:2020年6月14日(日)

会場:多摩あきがわ ライブフォレスト@深澤渓 自然人村 内

開場:17:30/開演:18:00

料金:会場入場チケット:4000円/ライブ配信チケット:2000円

 

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