【Rural Actインタビュー】音楽を通じて、まちと未来をつなぐためのフェスという場所。

熊本県南部の人吉球磨。令和2年の豪雨では、甚大な被害を受けた地域だ。豪雨から5年。音楽を通じて人と人、まちと未来をつなぐことを目的に、フェスが初開催される。なぜフェスという場を作ろうとしたのか。人吉球磨の魅力とは。Rural Act ‘25実行委員会メンバーで一般社団法人らぞLABO代表理事の北貴之さんにメールインタビュー。


––– 令和2年7月豪雨から5年。甚大な被害にあった人吉球磨地域で、Rural Actが初開催されます。主催の「一般社団法人らぞLABO」は他にどんな活動をなさっているところですか。

 私たちの住む熊本県人吉市は、令和2年7月の豪雨で大きな被害を受けました。被災直後の街を見たときに、「このままでは本当にまずい」と強く感じ、復興に向けて活動するまちづくり会社を設立しました。

 活動のキーワードは「持続可能」です。実は、人吉は水害がなくても、人口減少や高齢化、働き手不足といった課題を多く抱えてきた地域でした。そこで私たちは、「人口を増やす」「来訪者を増やす」といった直接的な解決策よりも、まずは「人吉という地域がある」という認知度を全国に広げることに注力することにしました。その手段として選んだのが「観光」です。観光を通じて人吉の魅力を全国にPRすることに力を入れています。もちろん、観光プロモーション自体はどの地域でも行われていますが、私たちが大切にしているのは「何を伝えるか」ではなく「誰が伝えるか」という視点です。この考え方に共感し、力を貸してくれたのが芸人のラランドのおふたりでした。令和2年当時、まだフリーで活動されていた彼らに直接連絡を取り、「パートナーシップ協定」を結ぶことになりました。今も継続して人吉を応援してくれています。具体的には、ラランドの個人事務所とコラボした「レモンジャムの人吉社員旅行」や、銀座での「ラランド・ニシダの球磨焼酎トークライブ」などを開催し、エンタメと地方創生を掛け合わせた活動を続けています。

––– 一般社団法人らぞLABOのメンバーが中心になってRural Actの開催に向ったということでしょうか?

 はい。主催として我々が中心になって動いておりますが、地域の若手や行政職員のみなさまも本当にたくさん手助けしていただいております。

––– 豪雨から5年、現在の人吉球磨地域の状況を教えてください。

 全国から様々な支援をいただき、町並みは綺麗になりました。しかし、被災家屋や空き地はまだたくさんあります。私たちの活動から「観光」という視点で見ると2019年以前の数字(宿泊客数など)を超えておらず、まだまだ復興には程遠い状況です。また災害により人口が半分になってしまった地域もあります。課題が山積みな状況は変わっておりません。

––– 人吉球磨地域の魅力を教えてください。

 この地域は、相良氏の治世が約700年続いた、全国的にも非常に珍しい地域です。歴史や文化が色濃く残っており、熊本県内にある重要文化財や国宝のおよそ7割が、この地に集中しています。また、球磨川や清流日本一と称される川辺川、市房山といった豊かな自然にも恵まれています。そうした自然の恵みを受け、この地ならではの食文化も発展しており、中でも「球磨焼酎」は地域を代表する特産品です。

––– 人吉球磨地域でフェスを開催するために動き始めたのはいつ頃だったのですか。そしてそれはどんな一歩目でしたか。

 今年の4月から動き始めました。準備期間が確実に短いと思いながらスタートしましたが、なんとかなるだろうと甘く考えていました。初めての開催で本当に手探りでスタートしたので、やればやるほど課題が続出し、たぶん5回くらい心折れかけました(笑)。

北さんとらぞLABOメンバー


––– 開催まで長かったですか、それとも短かったですか。

 短かったです。あっという間に半年が経ち、許してもらえるなら開催を後ろに2カ月ずらしたいくらいです。

––– フェスではどんな楽しみ方をしてもらいたいですか。

 素敵なアーティストのみなさんに出演していただきますので、まずは存分に音楽を楽しんでいただきたいです。さらにフードエリアには地域の飲食店が多数出店しますので、人吉ならではのグルメも味わっていただけます。会場から徒歩圏内には温泉や旅館、飲食店通りもありますので、閉演後も人吉の魅力を満喫していただければ嬉しいです。

––– Rural Actの一番の特徴を教えてください。

 とにかく出演アーティストの選定には時間をかけました。人吉城跡という文化財の中でどんな音楽を届けたいのか、地域のフェスとしてどんな色を出すのかを徹底的に考えました。全国で多くのフェスが開かれる中、私たちがどう映るかは分かりませんが、テレビ露出や知名度は度外視して、純粋に「本当にカッコよくて素敵な音楽」を奏でてくれる方々にオファーしました。ですから、会場に来ていただければ、音楽と空間の両方で最高の時間をお届けできると自信を持っています。

––– Rural Actでどんな時間を過ごしてほしいですか。

 会場には、いくつものフリースペースを用意しています。実は出演いただくアーティストのみなさんには、オファーの段階で「ぜひ弾き語りで聴かせてください」とか「思いっきりブチアゲてください」といったリクエストをお願いしました。その結果、会場ではいろんな音楽の楽しみ方ができるんです。フリースペースでゆったりと音に浸ったり、バンド演奏で体を揺らしたり、DJのプレイで思いきり騒いだり。お客様には、音楽を全身で存分に楽しんでいただきたいと思っています。

Rural Act ’25

開催日時:10月11日(土)11時〜19時

会場:人吉城跡ふるさと歴史の広場(熊本県人吉市)

出演:イシイモモコ、思い出野郎Aチーム、奇妙礼太郎、TENDRE、チャラン・ポ・ランタン、YOGEE NEW WAVES、DJダイノジ、DJやついいちろう、KiLa、ニシダ(ラランド)福留光帆

※Rural act’25に合わせ、中川原公園にてキャンプサイトを実証的に限定開放。Rural act’25参加者のみがキャンプ可能。大自然に囲まれた球磨川沿いの公園で、音楽とともに特別な一日を過ごすことができる。

キャンプの詳細・申込みはこちら


中川原公園に泊まろう!キャンプ受付フォーム

2025年10月11日(土)に開催される音楽フェス「Rural act'25」に合わせ、中川原公園にてキャンプサイトを実証的に限定開放します。このキャンプは「Rural act'25参加者のみ」が対象です。大自然に囲まれた球磨川沿いの公園で、音楽とともに特別な一日をお楽しみください。 日  時:2025年10月11日(土)チェックイン 9:00〜16:00/チェックアウト10月12日(日)9:00完全撤収 場  所:中川原公園(熊本県人吉市) 対  象:Rural act'25参加者(事前申込制・先着順) 料  金:3,500円(税込)1区画(約8m×8m)テント1張まで(※テントは各自持参ください)駐車場あり レンタル:4,400円(税込)SnowPeakテント一式レンタル(アメニティドームS:大人1〜2名宿泊可) 受付組数:先着順にて限定20組(定員1組4名まで、車は1組1台まで) 注意事項: ・本キャンプはフェス来場者限定となります。宿泊者は、フェスのチケット購入が必須です。 ・公園内のルールを守り、ゴミは各自お持ち帰りください。手洗い場では、洗い物禁止です。 ・直火は禁止です。焚き火台などをご使用ください。橋の下は、火気厳禁となります。 ・本キャンプ参加者は、中川原公園へ車の駐車が可能でございます。 ・お支払いは、受付の際に現地で現金にてお願いします。 ※10月12日(日)は、9:00完全撤収となります。予めご了承ください。 ※中川原公園は、復旧作業中及び実証実験でのキャンプ受付のため、炊事場・電源設備はございません。 ※登録いただいた皆様に、ご宿泊いただくエリア番号及び注意事項をご連絡させていただきます。 ※ご利用料金は、チェックイン時に、スタッフへの現金支払いとなります。 ※本キャンプは実証実験として実施するものであり、滞在中の事故・盗難・ケガ・病気などについて、主催者および事務局は一切の責任を負いません。参加者各自の自己責任・自己管理のもと、安全にご利用ください。 ◯Rural act'25の公式ページはこちら https://ruralact.com/

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