マディ・ウォーターズやハウリン・ウルフ、チャック・ベリーといったブルースの巨人たちの作品をリリースしたシカゴのチェス・レコード。このレーベルから、50年代に白人シンガーとして唯一作品を発表していたのがボビー・チャールズだった。
ボビー・チャールズは、アメリカ南部のルイジアナで生まれた。ケイジャンと呼ばれる独特な文化や音楽が継承されているエリアだ。本名はロバート・チャールズ・ギドリー。60年代後半からソングライターとして、ファッツ・ドミノの「Walking To New Orleans」などの楽曲を提供している。
70年代に入るとウッドストックに移住。同じ町に住んでいたザ・バンドのメンバーなどとセッションをするようになり、初のフル・アルバムとなる『Bobby Charles』をベアズヴィルからリリース。76年に開催されたザ・バンドの「ラストワルツ」にも出演を果たしている。
アメリカ音楽のレジェンドとなるべく資質や可能性を持っていたにもかからわず、ほとんどステージに立つことなく、ルイジアナに戻り、バイユーの森の家で静かに暮らしていた。そして2010年に71年の生涯を終えた。
類まれなる才能から180を超える曲を生み出し、ザ・バンドやボブ・ディランなど250組以上のアーティストたちから愛されるも、公の場に姿を現すことを嫌い謎に包まれていたボビー・チャールズの音楽ドキュメンタリーが、この『ボビー・チャールズ 極楽の歌』。ルーツを辿る映像や、ドクター・ジョンやアラン・トゥーサンといったニューオーリンズ音楽シーンの鬼籍に入ったレジェンド達の証言などを綴って、ボビー・チャールズがどういう人間であったのか、どんな楽曲を残してくれたのかを伝えてくれている。
楽譜もかけず、楽器も弾けない。それでも多くの人の心に残る楽曲を数多く残したボビー・チャールズ。 ボビーとその音楽に魅せられたディヴィッド・デュボス監督が9年の歳月をかけて完成させた。
(原題:In a Good Place Now: The Life & Music of Bobby Charles)
出演:ドクター・ジョン、アラン・トゥーサント、クラレンス・フロッグマン・ヘンリー、デルバート・マクリントン、サニー・ランドレス、ジェフ・マルダー、エイモス・ギャレット、ジョナサン・タプリン
監督・製作:ディヴィッド・デュボス
エグゼクティヴ・プロデューサー:チャールズ・ソニエ
編集:ディヴィッド・デュボス
撮影:レニー・デルバート、ゲイブ・メイハン、オリー・サッソン
2024年|73分|アメリカ
字幕監修:ピーター・バラカン
提供:マーメイドフィルム
配給:コピアポア・フィルム
2024年12月13日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAにて2週間限定ロードショー。12月26日(木)で終映。
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