新潟県柏崎市で音楽フェスが初開催される。「森ゆれる」だ。新潟県は苗場の「フジロック」や佐渡「アースセレブレーション」だけではなく、大小さまざまなフェスが開催されてきている。音楽を核にした人とこととものの融合する場が、決して特別な時間ではない。フェスというカルチャーが根付いたいる場所と言えるのかもしれない。そんな新潟で新しいフェスを立ち上げた思いをオーガナイザーのひとりである大橋賢太さんに聞いた。
––– 「森ゆれる」フェスの特徴は？
キャンプ場内の特設メイン野外ステージ「FOREST STAGE」と、施設内のフットサルコートに設置する屋内フロア「SWAYING ROOM」に、厳選アーティストのライブ、地元新潟を拠点に活動するバンドやDJを迎え、さまざまなサウンドが鳴り響くことで生まれるカルチャーを醸成すべく企画した1泊2日の音楽祭です。 一番の特徴は1ステージはゲストミュージシャン、もうひとつはローカルミュージシャンに特化していて、ゲストミュージシャンのステージは1アーティストごとの時間を転換・本番共にたっぷりと取っています。満足行くまでゲストミュージシャンのライブを堪能してほしいという思いと、転換の時間をしっかり取ることでローカルミュージシャンのことを知ってもらえるきっかけになれればと思い、タイムテーブルを組んでいます。 また、ローカル中心の地元屋台がズラリと並び、美食で知られる新潟の食を存分に堪能できます。季節的に肌寒い季節ですが、サウナ出店とキャンプ場常設のシャワールームもあり、多種多様な楽しみ方ができる2日間になると思います。
––– 初開催しようと思ったきっかけは？
「森ゆれる」は地元新潟で各々違うフェスやお祭りを作ってきた3人の共同代表で作っています。コロナ禍の3年間、これまで在ったイベントやフェスの中止が余儀なくされていく様を、それぞれが複雑な想いで感じていました。 その期間は余りに長く、各地のフェスや祭りのシーンであった新たな出会いやカルチャーの交流がすっかり鳴りを潜め「祭る」という気持ちにぽっかりと穴が空いてしまった。コロナ明けと言われる2023年、長い空白期間に失ったものを思い返し、その間にできなかった世代間の継承と交流を取り戻したい。その思いで開催します。
––– 「森ゆれる」でどんな時間を過ごしてもらいたいですか。
コロナ禍で久しく会えてなかった仲間との再会を喜んでもらったり、新しい音楽や好きなDJとの出会いを楽しんでもらえれば最高です。ゲストミュージシャンはもちろん、昼から夜までぶっ通しで流れ続ける地元DJや地元バンドの音楽も新しい発見があると思います。 ステージはローカルでデコレーションアーティストとして活躍し続けているtomizouさんと8blanksの引馬英人さん、会場は長岡造形大学の学生さん達がデコレーションで彩ってくれます。夕方からは会場常設のライトに灯籠協賛企業さんの名前も並びます。新潟各地のローカルが集まって手作りで作ったお祭りを堪能していただきたいです。
––– 新潟の開催時期の天候は？
さすがにまだ雪は降りません（笑）。会場は山というより海と平地に挟まれた小高い丘のような立地で、標高もそこまで高くありません。山と比べれば冷え込みもそこまで厳しくはなく、晴れれば日中は快適に過ごせます。例年、最高気温15℃〜20℃になるのに対し、夜間から明け方にかけては平均的に10℃を下回り、それなりに寒くはなります。会場内にクロークも用意しますので、必ず防寒対策を十分にして、冷え込んできたら温かい格好に切り替えて秋の夜長を楽しんでください。
––– 会場を柏崎にした思いとは？
共同主催の他のふたりはそれぞれの想いがあると思うので、あくまで大橋の個人的な考えです。
会場の柏崎市には言わずとしれた柏崎原発がある街です。いつだったか宴会をしていた最中、柏崎に住むとある友人のミュージシャンがこんなことを言っていました。「自分の街に音楽仲間を呼ぼうとすると敬遠されちゃうことがあるんだよね」。
この言葉がずっと胸に引っかかっていました。柏崎市は他の新潟県の地域と同じく、美しい自然があり、何よりも豊かな幸があり、夕日が沈む姿が圧巻の日本海があります。とても美しい街なんです。友人の一言をきっかけに「原発があることでその土地を敬遠する人がいることが、より閉塞感や分断を産んでしまうのではないか？」と思うようになりました。 そこに美しい自然があって、暮らす人たちがいる。そんな当たり前で普遍的なことを、祝いたい。そして、その土地で感じる「何か」を持って帰ってほしい。そんな想いで会場を柏崎市にしました。音楽の力を信じて、ポジティブな気持ちが集まる2日間にしたいと思っています。
開催日：10月28日（土）～29日（日）
会場：ゆうぎオートキャンプ場（新潟県柏崎市）
出演：GEZAN、SPECIAL OTHERS、LITTLE TEMPO、踊ってばかりの国、グソクムズ、パジャマで海なんかいかない、ROTH BART BARON 、田我流、ほか
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