いろいろなジャンルの音楽やカルチャーがミックスされた場所。【SYNCRONICITYインタビュー】

会場を行き来して、自分のタイムテーブルを作る。そんなフェスのような時間が渋谷円山町でも体験できる。いろんなカルチャーをミックスさせることを目的に、2005年にスタートした「シンクロニシティ」だ。ここに行けば、「今」の多様なライブを体験することができる。オーガナイザーの麻生潤さんに「シンクロニシティ」への思いを聞いた。

–––– ここ2~3年、若手のバンドの活躍が目立つようになってきました。その状況をどう感じていますか。

 最高ですね。今かっこいい若手バンドが多くて、本当にこうしてシンクロニシティをやること、音楽の仕事に携わることが楽しい。そういう新しい音楽が生まれてこないとやってる意味がないですからね。ただ、今までも若手バンドって活躍していたと思います。違うのは、今の若手バンドはコピーではなくていろんな意味で日本的なオリジナリティを持ってるってことかなと。音楽のシーンを見渡すと課題を感じるところもあるけれど、総じて可能性に溢れてると感じます。シンクロニシティもまだこれからの若手バンドをしっかりサポートしていきたい。そしてやはり海外に日本の音楽を届けたいですね。

–––– 今年は行き来できる会場も増え、ブロックパーティーのようなイメージも持っています。今年のシンクロニシティの特徴とは?

 ブロックパーティーってシンクロニシティのイメージに近いものですね。サーキットフェスって言われたりもするけれど、それってシンクロニシティのイメージからは正直遠いんです。その辺り一帯と結びついたお祭のようなフェスが理想で、徐々にそこに近付いています。で、その過程のなかで今回は4店舗を加え規模を広げました。でもただ広げるだけだったらそもそも意味がないので、近隣店舗と提携して早い時間から営業してもらったり、コラボメニューを出してもらったりと一歩踏み込んで取り組んでます。まずそれがあっての規模拡大であり、今年のひとつの特徴です。

 また、今回はアジア(フィリピン、タイ、台湾、香港)から4バンドを招聘していて、そのうちの3バンドが初来日です。それを観ることができるのも今回の特徴です。日本では初来日ということで知名度はありませんが、実際はそれぞれの国では人気もあり、音楽性の高さもあります。みなさんに「近いけれど普段なかなか触れることのない音楽」に出会ってもらえたら本当にうれしいし、今回出演いただく日本のアーティストにも紹介して、相互に行き来できるよう日本とアジアのネットワークを築いて行きたいと思ってます。

–––– そもそもどんな場にしたいと思って立ち上げたのですか。

 2005年の一番最初の立ち上げはカルチャーのミックスです。僕はクラブミュージックもバンドサウンドも大好きで、2005年頃ちょうどそれぞれの場所のクロスオーバーが起きようとしてました。当時の日本はDachamboなどのJAM BANDもひとつのジャンルとして全盛で、DogggystyleやSOIL&”PIMP”SESSIONSなどダンスミュージックと相性の良いバンドも多かった。さらにDJも光くん、岩城健太郎くん、Shiro The Goodman、井上薫さんなどバンドと相性の良いクラブカルチャーを代表するDJがいました。いろんな条件や素晴らしいアーティストたちがいて、それぞれの刺激的なカルチャーをミックスしたらどうなるだろう?それって相当エキサイティングなことじゃないかって思って立ち上げました。それが2009年くらいまで続いて、その後、都市やもっと幅広いクロスオーバーを意識するようになりましたね。

–––– これほどのアーティストがラインナップされていることで、タイムテーブルを作るにあたって苦労したこととは?

 タイムテーブルを自分のイメージ通りに作ること自体には、そう苦労しないんです。難しいのはその後で、PAさんが被っていたり、出演できる時間帯が限られているアーティストがいたり、制作や物理的な兼ね合いでどうしても思い通りのタイムテーブルにならないことです。新しい出会いを創出したいって思っても、ファンが被るアーティストを横並びには絶対にしたくないって思っても、そうならないことが多々ある。苦労と言うか、それが本当に辛いところですね。

–––– どんなことを参加した人にシンクロニシティで感じてもらいたいですか。

 人って自ずと聴く音楽や活動する環境って決まっていくものだと思うんですけど、そのなかでも新しい音楽や新しいこと(人)との出会いを作りたいと思ってます。シンクロニシティにはいろんなジャンルの音楽やカルチャーがミックスされています。一見雑多にも見えるところがあるかもしれないけれど、僕のなかには明確な軸があって。そういうミックスされたなかでの出会いを通して新しい音楽、文化、人と出会ってもらえたらそれほど嬉しいことはないです。それってシンクロニシティって意味そのものですしね。

Photo = 塚本弦汰、Miku Nakajima、Kenichi Kurosaki

SYNCHRONICITY’18

開催日:4月7日(土)

会場:TSUTAYA O-EAST、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest、duo MUSIC EXCHANGE、clubasia、VUENOS、Glad、LOFT9

出演:渋さ知らズオーケストラ、toe、SOIL&”PIMP”SESSIONS、・サニーデイ・サービス、SPECIAL OTHERS、水曜日のカンパネラ、toconoma、Ovall、韻シスト、WONK、UDD(Up Dharma Down / Philippines)、Moving and Cut (Thailand)、Elephant Gym (Taiwan)、他

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