【eiji suzukiインタビュー】ベーシストとしての、自分の「今」の音。

DACHAMBOのベーシストであるeiji suzuki。シンガーソングライターとしても4枚のソロアルバムをリリースしているが、5作目はeiji trio bandとして発表された。メンバーはピアノ&シンセサイザーの家口成樹とドラムスの山本達久。前作までとはまったく違うアンビエントなサウンド。そこにゲストして3人のラッパーがリリックを乗せている。『hakoniwa』の制作について、そしてコロナ禍での自分の変化について聞いた。

–––– アンビエントなインストが全体のトーンです。過去のソロアルバムはシンガーソングライターとしての歌ものでした。なぜインストだったのですか。

 実は、しばらくBASSに興味がなくなった時期が続いてたんですよね。歌モノを4枚制作してある程度の満足感を得られたところで、やっぱりBASS弾きたいなと。自分がベーシストとして1枚BASS SOLO ALBUMを残そうと思ってこのスタイルになりました。

–––– 今回のアルバムを、この方向性で行こうと決めたきっかけがあれば教えてください。

 かなり考えたのですが、テクニックをひけらかす系のバキバキのフュージョンアルバムとか、正直かっこいいと思えないので。昨年、映画『鬼ガール』の音楽を制作するなかで、ひとつの楽器が主張するより、全体のバランスだったり美しさだったりの重要性に気づきました。それで音楽的なものをBASSで表現しようと。

–––– 曲を作ったのはいつ頃で、レコーディングはいつ頃?

 昨年からBASSを触ってて、曲は作りためてました。今年の頭にオケのレコーディングは終わってましたね。

–––– レコーディングはどんな感じで進められていったのですか。

 基本、僕がメロディをBASSで弾いてPIANOの家口さんとコードの打ち合わせしたら、特に指示なしで一発録音ですね。2日で10曲ぐらい録音しました。その後はコロナで制作が宙に浮いてたんですが、Sing J ROYやローホーRowHowMan、ブギ丸君と連絡を取り合う中で、完成させないとダメだなと思って、それぞれ遠隔だったり、レコーディングで1日だけスタジオに来てもらったりしてました。

–––– コロナによって、自分の中で何が一番変わったと思いますか。

 やりたい事やるしかないんじゃないですか。一緒に何かやりたい人だったり、逆にちょっと絡まなくてもいいかなとか。無理もしなくなりましたね。その辺ですね。

–––– それはこのアルバムにも現れている?

 ジャンルも年代も関係ない今回の録音メンバーやGUESTの人選に出てると思います。

–––– eiji trio bandのほかの二人のメンバーのことを紹介してください。

 まずドラム山本達久ですが、ジムオルーク、UA、七尾旅人など複数のアーティストのサポートしつつ、ソロアルバムも出してます。自分はアルバム作るときにドラムから決めます。ただ指示通りに叩けるとかじゃなくて、自分で作れる人が良いですね。やっぱりドラムの力量で音楽の幅や質が決まりますから。まあ自分の事を棚に上げてますが、達久くんからOKもらえたので、このレコーディングに入れました。

 そしてピアノの家口成樹さん。京都には複数良い鍵盤の方がいますが、今回は動的なサウンドより静的なサウンドなので、音楽プロディーサーやMIX、マスタリングなどもやる家口さんにお願いしました。やっぱり経験値が高いとあまり説明する必要がないし、すぐにアイディアも出してもらえるので、この2人で正解でしたね。

–––– 作品として出来上がったものを聞き直して、どんな感想を自分で持っていますか。

 客観的にKND(soft)のMIXも良く出来てて基本聞きやすい。時間が過ぎても2020年の時代感出ると思います。前半と後半の世界観が違うので、アナログでA面、B面に分けたいところだったんですけど、そこまで違和感ないので通して何回でも聞けると思います。

–––– 音楽の必要性を、より感じている人が多いと思います。このアルバムに込めたものとは?

 音楽はどんな時代も必要とする人多いと思います。癒しでもエンタメでも、手に取る形が時代で変わりますが、消費される量も増えてると思いますよ。

–––– このアルバムに込めたものとは?

 実は何かを特別に込めてはいないんです。自分が音楽家として生きてて、その時に好きなもの、作りたいものを作ってるだけなんで。その時の人との縁で参加メンバーも決めてるので、感覚であって言葉で伝えられるものではないんですね。しいて言うなら、2020年に僕は生きてますよ。今も好きな音楽をやってますって存在証明ですかね。

–––– 京都ではレコ発イベントが行われました。ほかの都市では予定していないのですか。

 現在、Sing J ROYの地元の福井で2021年春にとの話出てますが、現状そんなにLIVEする空気感でもないので、予定が立たないですね。来年状況が良くなればある程度タイミングでやりたいですね。10月10日の京都でのLIVEはYOUTUBEに順次アップ行くので興味のある方は覗いてくださいね。

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