ONEというタイトルに込めた思い。ひとつひとつの音に向き合う覚悟。 【小林洋太】

レゲエやブラック・ミュージックが、家では当たり前に鳴っていた。当然のようにギターを手にし、自然にレゲエのカッティングを覚えていたという。ブルージーでありメロディアスな音色を放つギタリストのファーストソロまでの道のり。


文 = 菊地 崇 text = Takashi Kikuchi   写真 = 須古 恵 photo = Meg Suko

— ギタリストとして、活動することになったきっかけを教えてください。

洋太 国立にある通信制の高校に行っていたんですね。レポートとテストがあるだけで、学校には月に1回行けばいい。高校3年の夏前。ダブセンスマニアのベースだったRYOTAROと仲良くて、葉山の海の家のOASISの建築を手伝っているから遊びに来なよって誘ってもらって。行ったら楽しいんだろうなって予感がして、ギターと着替えを持って、RYOTAROのところに転がり込んだんです。当時はジャパンレゲエと呼ばれる文化が爆発する寸前。高校生でギターをやっている変なヤツがいるって言われてたんでしょうね。親父の関係もあって、そこでいろんな人に出会って。


— 親父さんとは?

 PAPA U-Geeのバンドでドラムを叩いていたんです。自分は別にミュージシャンになりたいって頑張っていたわけでもなく、湘南界隈でのらりくらり、流れに身を任せていたんですね。そうしているうちに、FIRE BALLのツアーでギターを弾かないかって誘ってもらって。当時の俺の年齢でもらえる仕事にしては、けっこういいじゃねえのって思えるくらいのギャランティでした。そのツアーに参加したことで、ある部分では腹を括ったというか、ギターだけをやっていきたと思ったんです。


— ギターを誰かに習ったということもなく?

 勉強したいっていう気持ちは今でもあるかな。常に自分の理想を目指してっていう感じなんだけど。


— そして今年6月にファーストアルバムをリリースしました。

 去年からサブスクに曲を出していたんですね。サブスクなら世界の人に聞いてもらえるチャンスがあるじゃないですか。1曲でも2曲でも、少しずつ増やしていけばいいなって思ってやり出したんです。自分のCDも、いつかはつくりたいと思っていた。発表することへの足かせになっていたのは、自分をさらけ出す踏ん切りというか勇気がなかったから。音楽は自分のなかにとどめておいたものが、配信によってようやく破られたのかなって思う。


— アルバムのコンセプトは?

 はじめての作品だから、ひとりでやることにこだわってもいいのかなって。だからタイトルも『ONE』にして。結果的にライブ音源が1曲入っているんだけど、それ以外はひとり。自分のなかのいろんな音が表現できていると思います。

— 新型コロナウイルスは、つくることへのきっかけになりましたか?

 自分の音に向き合う時間になりましたね。ライブがやれなくなって、やっぱり出しておきたいっていう切羽詰まった部分もあったのかもね。


— アフター・コロナ、もしくはウィズ・コロナの自分の活動をどう描いている?

 ライブに対する価値観が自分のなかで変化しているのかもしれない。言葉にすれば当たり前のことだけど、もっともっと1本1本のライブに本気で向き合わなきゃなと思う。リアルな現場と配信を融合させていくことが、これからのライブになっていくんじゃないかな。その場だけではなく、どこでもいつでも見ることができる。さらに自分も力をつけて行かなとね。


— CDをリリースしてどんな変化があったのですか?

 やっと種をまけたのかなって思う。種をまいておけば、いつか芽が出てくるし、何かしらのアクションは絶対に起きるわけだから。新型コロナで1回さら地になった。感覚的にはそんな感じがあるから、これからはなんでもやれるし、なんでもやっていいし。CDというひとつのビジョンを消化させたことによって、ようやく次に行けるかなって思っています。

取材協力・地球屋(国立)

『ONE』

長野県大鹿村で小さな頃を過ごした。父はZION HIGH PLAYAZでPAPA U-Geeなどのバックを務めたドラマー、兄・小林眞樹は(仮)ALBATRUSなどで活躍するベーシスト。湘南での出会いをきっかけに10代後半からギタリストしての活動をスタート。現在はChozen Lee and The Bang Attack、Yota Kobayashi Band、Reggae Disco Rockers、Irie Jazz Session 、Spice PlayBoyzなど数多くのバンドを並行させている。初のソロアルバムを2020年6月にリリース。自身のレーベルも立ち上げた。

LIVE SCHEDULE

10/24 Tuff Session @ 目黒カラビンカ

10/25 Yota &Rei @ 新百合ヶ丘Chit Chat

10/31 Yota Kobayashi Band @ 国立地球屋

11/07 Yota Kobayashi Birthday Attack @ 国立地球屋

11/21 Keyco & Hanah Springs@逗子Surfers

11/29 Jammin@元住吉Powers2


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