ビートルズやローリング・ストーンズらによって、ロックの礎が築かれていった60年代前半のイギリス。そして多種多様なものを取り込むことによってより広がっていたのが60年代後半。多種多様なもののひとつがジャケットのアートワークだった。盤に刻まれた音をジャケットによって表現する。そしてそれがアートとしても形成される。その先陣を切っていたのが、ピンク・フロイドでありピンク・フロイドのアルバムジャケットを手がけていたヒプノシス(Hipgnosis)だった。
ヒプノシスはストーム・トーガソン、オーブリー・“ポー”・パウエルによって共同で創立された。ケンブリッジでピンク・フロイドのメンバーと出会ったことが、ジャケットやツアーポスターの制作を開始したきっかけだったという。70年代に入ると、 ジェネシス、レッド・ツェッペリン、ポール・マッカートニーなどのアーティストのジャケット・アートも手がけるようになっていった。
(c)Hipgnosis Ltd
ヒプノシスが作り出したジャケット・アートの秘密を解き明かしてくれるのが、本作『ヒプノシス レコードジャケットの美学』だ。ヒプノシス創業者のストーム・トーガソンとオーブリー・パウエル、ふたりを支えたカメラマンやグラフィックのスタッフ達に加え、ロジャー・ウォーターズ、デヴィッド・ギルモア、ジミー・ペイジ、ロバート・プラント、ポール・マッカートニー、ピーター・ガブリエルらによるジャケット制作秘話、その当時の貴重なインタビューや写真・映像が収められている。
(c)Anton Corbijn / Aubrey_Powell_and_Anton_Corbijn_Banbury_2020
監督はアントン・コービン。写真家として、そして映像作家として、U2、ジョニー・キャッシュ、アーケイド・ファイアなど、数多くのアーティストとコラボしてきた。映画監督としても、 ジョイ・ディヴィジョンのリード・ボーカル、イアン・カーティスの人生と死を描いた初の長編映画『コントロール』などの作品を発表してきている。
デジタルではないアナログの時代。音楽を写真やアートとしてどう表現していったのか。そのアイデアは、今の時代の音楽シーンにも確かに紡がれている。
(c)Anton Corbijn/Peter_Gabriel_London_2021
[原題:Squaring the Circle (The Story of Hipgnosis)]
監督:アントン・コービン
字幕:山口三平
2022年/イギリス制作/101分
出演:オーブリー・パウエル、ストーム・トーガソン(以上ヒプノシス)、ロジャー・ウォーターズ、デヴィッド・ギルモア、ニック・メイスン(以上ピンク・フロイド)、ジミー・ペイジ、ロバート・プラント(以上レッド・ツェッペリン)、ポール・マッカートニー、ピーター・ガブリエル、グレアム・グールドマン(10cc)、ノエル・ギャラガー(oasis) 他
2025年2月7日 YEBISU GARDEN CINEMA他 全国順次公開
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