【Village Market Tsukuba(YUKI /EMIKA /GEORGE)】 オーガニックマーケットを日常の風景に。

カナダやアメリカでは当たり前の風景だったオーガニックマーケット。オーガニックが身近なものとして選択できること。生産者を守り応援することもマーケットは担っている。


文・写真 = 宙野さかな  text・photo = Sakana Sorano


ー それぞれ、つくばで暮らすようになった理由を教えていただけませんか。

G(ジョージ)エミカとカナダのバンクーバーで知り合って日本に来たんです。どこで暮らそうかと思って、宮崎から北海道まで、いろんなところを回りました。そのなかでもっとも気に入った町が札幌とつくばだったんですね。生まれ故郷のバンクーバーに近い雰囲気がつくばにはあって。それで2019年に茨城に居を決めました。

Y(ユキ) 働いている会社がつくばにあるんです。その会社の仕事で2020年までサンディエゴにいたんですね。生まれはつくばではないのですけど、父も近くににいるし、会社もつくばにあるので。アメリカから帰ってきたのは2020年6月です。

ー 「ヴィレッジマーケットツクバ」は、いつスタートしたのですか。

G 2021年の10月17日です。

ー マーケットをスタートさせたきっかけは?

G バンクーバーでは、暮らしの近くに当たり前にオーガニックがあるんですね。毎週末に、いろんなところでオーガニックマーケットが開催されている。毎週オーガニックマーケットに家族と行って、一週間分の肉も野菜も果物も買ってくる。売っているのは、もちろん野菜や果物を作った人たちで、作っている人たちの顔を覚えることもできるし、農家の人たちも僕らのことを覚えてくれる。いい関係が生まれていたんですね。勝手なイメージなんですけど、日本のほうがオーガニックが進んでいると思っていたんです。日本では小規模の農家さんが多くて、大切に育てているというイメージ。来てみたら完全に真逆で。それで自分たちで、マイクロファームをやりはじめたんですね。スプラウトを作って、それをいろんなマルシェに売りに行くという生活になったんです。

Y 日本に帰ってきたら、アメリカや外国に住んでいた頃に食べていた大好きなフムスがなかなか売っていなくて。中東の伝統食であるフムスを自分で作って日本で広めたいな、売りたいなって。それでマーケットという場所で最初販売するのがいいなって思ったんですけど、要冷蔵の食品だからなかなか出店できるところがなかったんですね。そのことをジョージに話したら、ここがいいとか、いろいろアドバイスをくれたんです。

G 青山ファーマーズマーケットとか、いろんなところに出店していましたよ。東京、埼玉、千葉、茨城…。だけど遠くに出かけて出店するのって、無駄が多いなって思うようになって。移動のための時間とかエネルギーとか。

  一昨年の7月の大雨の日にジョージと会ってて、車のトランクを開けてそこで雨宿りをしながら「つくばは国際色豊かな町だし、外国人も多いのに、アメリカやカナダみたいなマーケットがなんでないんだろう。ないならやってみようか」っていう話になったんですね。どうやって実現できるかわからないけど、とりあえず市役所に電話してみるからって言って、別れて家に帰った後にすぐ電話したんです。

ー そこから10月の開催までって、ずいぶん速かったですね。

Y 市役所の担当の方にアポを取って、企画書を作って3人で持って行ったんですね。そしたら希望する公園のもっとも近い空き日が10月17日だったんです。即行で日程を決めて。

ー アメリカやカナダに近いマーケットということは、オーガニックということがテーマには当然のようにあったわけですよね。

E(エミカ) 作り手と話して、食べ物を購入する文化がとても好きでした。日本も、昔のお店では会話しながらのお買い物が普通にあって、人と人との距離が近かったと思います。農家さんや作り手と話すことによって、背景を知ったり新たな学びを得たり。そんな場を作りたいと思ったんですね。バンクーバーでは健康や環境への関心がとても高かったのが印象に残っています。

  日本のマーケットとバンクーバーのマーケットって、どこか雰囲気が違うんですよね。みんなが一緒にその場を楽しみながら作っているっていう雰囲気が足りないっていうか。いい雰囲気のマルシェもあるんだけど、それは月に1回とかコンスタントには開催されていない。スモールビジネスの人たちが集まって、環境にも、健康にもいいマーケットがあったらいいじゃんって。それが毎週末に定期的に開催されている。

  私たちも農業をはじめてから、どれだけ日本の有機農家さんの苦労が多いかっていうことを知ったんですね。作物の成長ってストップしないじゃないですか。だから毎週マーケットが開催されるっていうことも、農家さんにとっては大切なことなんですよ。

ー 当初は月に1回の開催でした。

Y  同じ場所で、毎週マーケットをやった前例がないから難しいと言われていて。けれど担当者の方の理解があって、違う公園ならいいっていうことになり、今では4つの公園で月に1回ずつ計4回開催しています。

ー 継続的に定期的に開催することでコミュニティも形成されていくと思います。

  一番の目的は農家さんを守るっていうか応援すること。マーケットが日常になることで、農家さんなどの出店者さんとお客さんの距離がどんどん近くなっていくと思うんですね。そして農家さん同士の関係も近くなる。そんなオーガニックなコミュニティを、ゆっくりでいいので作っていければと思っています。

Village Market Tsukuba

「Earth Day Every Day!」をコンセプトに、人々がつながる地球に優しいコミュニティマーケットとして2021年10月に茨城県つくば市でスタート。当初は月に1回の研究学園駅前公園での開催だったが、現在は、第1週の中央公園、第2週の学園の杜公園、第3週の大清水公園、第4週の研究学園駅前公園を基本にほ毎週日曜に開催されている。。カナダやアメリカで毎週のように開催されているような作り手の買い手の顔が見えるフレンドリーな雰囲気に包まれたオーガニックマーケットを目指している。


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