宮城の小さな町から食と音のパーティー。【森波インタビュー】

宮城県北部にある登米。ここで「森波(しんぱ)」というインディペンデントでエッジのあるフェスが開催されている。今年で10周年。この10年の間に、キャンプインから町の中にある能楽堂に会場を移すなど、スタイルを変えてきた。それはフェス(あるいはパーティー)を小さな町で続ける進化なのだろう。オーガナイザーの柴田道文さんにインタビュー。


–––– 森波は今年で10周年を迎えます。開催当初、ここまで続くと思っていましたか。

 まったく思ってませんでした。というより何も考えてませんでした。(笑)

–––– ここまで続いた、もっとも大きな理由はなんだと思いますか。

 支援してくださってる方と、森波を支持しているお客さんの存在です。あとは運営サイドにやり続けようとする強い意志を持っている若者が一定数いることです。あたりまえですが私一人の気持ちとか努力では何もできないです。

–––– 今年は「フリーフード」を実施するとのことですが、どういうことを行うのですか。

 例年出店していただいてる飲食店の方々の商品を主催者側が買い取らせてもらって、それをお客さんに提供する、というスタイルです。たぶん、すぐになくなるかと思います。どうなるか本当に不安です。(笑)

–––– フリーフードを実施しようとした思いは?

 詳細は公式サイトの冒頭に記しましたが、簡単にいえば、いろんな差異があっても音楽と食でいろいろ連帯したり、その壁を乗り越えたりできる、という考えです。それはデヴィッド・マンキューソのThe LOFTから由来するパーティーの精神を引用しています。

詳しくはこちらで。

–––– フリーフード以外の今年の特徴を教えてください。

 巨大なランプを設置することですかね。スケーターも気合が入ってます。ぜひ板をお持ちの方はご持参ください。音楽はもちろん、最高の妥協なきメンツですので!

–––– 森波の特徴を教えてください。

 2006年の暮れに地元、登米市登米町にカフェをオープンさせました。音楽と食とコーヒーの店です。不定期ですが音楽のパーティーも企画してきました。これまでお店に招致したミュージシャンやDJを中心にブッキングし、2008年に始めた野外パーティーが森波です。

当初は町内の小さなキャンプ場で開催していました。2014年から場所を現在の能舞台に移しまし、今年で丸10年を迎えました。

–––– フェスを開催するにあたって、もっとも大切にしていることはなんですか。

 開催当初はとにかくヤバい音とか、場内の装飾をどうするとか、内容の充実ばかりを考えていました。それはそれで大事なことです。ですが、自分も歳を重ね、親も歳を重ね、お客さんも歳を重ね、森波にかかわってきた若者の多くは結婚、出産、育児という日常になり、みんなの見える世界が少しずつ変化してきました。

 そうした現実を踏まえ、夜通しやっていたイベントを日中だけに縮小したり、2日間だったのを1日の開催にしたり、運営自体を変えていきました。それと同時に、車椅子の方がどうやったら楽しめるか、乳幼児をお連れの方がストレスなく過ごすためには、膝が痛い年配の方が来場しても大丈夫かな、など、開催当初は考えもしなかったことに気を配るようになりましたね。そういう意味で最も大切にしたいのは現時点では身もふたもないのですがアクセシビリティに尽きます。

–––– 会場の伝統芸能伝承館 森舞台とはどういう場所ですか。

 新国立競技場や歌舞伎座の設計で知られる隈研吾さんの96年の作品です。さらに舞台の背景の松竹は、日本画家の千住博さんによるもの。資料室はグラフィックデザイナーの原研哉さんが携わってつくられたものです。現代の建築、美術、デザインの代表格が集結した奇跡の会場だと思います。

–––– 7月中旬の登米、どんな気候が多くて、どのくらいのスタイルがいいと思いますか。

 30℃を超える暑さが予想されます。雨が降れば20℃程度の気温も考えられます。多少の雨は会場には屋根がついた場所が多数あるのでそれほど心配ないかと思います。熱中症だけご用心ください。


森波二〇一八

開催日:7月15日(日)

会場:伝統芸能伝承館 森舞台(宮城県登米市)

出演:cro-magnon、ズクナシ、Marter & friends、GAGLE、RABIRABI+沼澤尚+内田直之、ギリギリBOYZ、TOKIO AOYAMA

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