20年以上にわたって渋谷区などの副都心にオフィスを構え、アートディレクター&グラフィックデザイナーとして、数多くのクリエイティビティを送り出してきたカワムラヒデオさん。都市にいることによって様々な関係が構築され、デザインは生み出され、デザインされたモノは人の目に触れられるようになったと言っても過言ではないだろう。
そんなカワムラさんが4年半に外房の九十九里に移住。きっかけのひとつは10代の頃から続けているサーフィンだったという。
「東京にいるときは完璧に夜型で、夜の2時頃に飲みに出かけて朝まで店にいるっていうことも、よくありましたから。こっちに来たら昼型にならざるを得ない。でもそれってストレスじゃないんですよね。コロナ禍になる前から、人と直接会ってミーティングするっていうことが少なくなっていました。だったら東京じゃなくてもいいんじゃないかって。ちょっと時間が空いたから海に行こう。それがこっちに来て容易になったんですよね。波が良ければ海に行く。海に行くといろんなことを考えさせられる。デザインと環境問題をサーフカルチャーを通して発信できないかと思ってはじめたのが『This is』なんです」とカワムラさん。
地球環境へのメッセージが記されているTシャツ、地域の織物屋さんの倉庫に積まれていたデッドストックの布をアップサイクルさせたトートバッグやサコッシュ、使い終わったサーフワックスとチャコールパウダーとソイワックスを使ったアロマキャンドル…。ちょっとした気づきを、『This is』のアイテムからは見つけることができる。
「同じ波ってひとつもないんですよね。潮の満ち引きとか風の向きや強さとか。いろんな要素があって波になる。人間にとっていい波とか、サーフィンをするにはよくない波とか。ちょっとでも地球にいいことを。それがブランドとしての『This is』の根本にあるメッセージなのかもしれないですね。自分にできることは何なのかって考えたときに目の前にあったのがデザインだったんです。ゴミとして捨てられてしまうモノに、デザインの力によって、新しい命を育ませることができたらなって」
『This is』は、マルシェなどのイベントに出店することはあっても、自身のECサイトでの販売がほとんどだった。8月、玉川髙島屋でポップアップストアとして展開されることになった。天然由来99パーセントの藍インクを使ったシルクスクリーン・ワークショップも開催される予定だ。大量に生産して消費するのではなく、ひとつのモノのなかに含まれた価値をや物語を見出し、紡いでいく。『This is』のひとつひとつのアイテムには、そんなメッセージがさりげなく込められている。
開催期間:2022年8月10日(水)~8月16日(火)10時〜20時
アクセス:玉川髙島屋 本館1階 T-ステージ1
※来場特典として、会期中に立ち寄った方にオリジナルポスターをプレゼント。
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