「水俣」を語り継いでいくための『MINAMATA』。写真家ユージン・スミスの姿をジョニー・デップ主演・製作により映画化。

 熊本県水俣市のチッソ水俣工場による工業排水を原因とし、補償や救済をめぐる問題が続く日本における「四大公害病」のひとつ水俣病。その存在を世界に知らしめたのが、写真家ユージン・スミス氏とアイリーン・美緒子・スミス氏が1975年に発表した写真集『MINAMATA』だ。3 年にわたり水俣で暮らし、公害病の実態や住民らによる抗議運動をカメラで捉えていくユージン氏の活動の軌跡をジョニー・デップ主演でドラマチックに描き出す。

 ジョニー・デップは、この作品ではプロデューサーも務め、2020年のベルリン国際映画祭の公式記者会見で、こんな言葉を残している。

「一人の関心を持つものとして、この歴史は語り継がれなければならないと思いました。映画の持つ力をフルに活用して、伝えたいメッセージを発信することが我々の願望でした。私たちな皆、ただの一片のホコリであり、同時に小さな力なのです。私たちが窮地に立たされたとき、誰かが率先して巨大な壁を壊そうとすれば、きっと大勢の人が後に続いてくれるはずです」

 インドネシアやブルキナファソの金採掘による水銀汚染、チェルノブイリ原発事故、アメリカのブリオ社に地下水汚染、バングラディシュの地下水のヒ素汚染、中国広東省の電子機器投棄場、そして福島第一原発事故…。エンドロールで紹介されるなどは、20以上にものぼる。ジョニー・」デップの「語り継がなければならない」という確かな意志が、そこにも現れている。

© 2020 MINAMATA FILM, LLC

©Larry Horricks

MINAMATA

監督:アンドリュー・レヴィタス

脚本:デヴィッド・ケスラー

原案:『写真集 水俣』W.ユージン・スミス、アイリーン M.スミス(著)

出演:ジョニー・デップ、真田広之、國村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信、岩瀬晶子、キャサリン・ジェンキンス and ビル・ナイ

2020年/115分/アメリカ

※TOHOシネマズ日比谷他全国公開中

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