ジャズ史上最大のカリスマの短くも球道的な人生を描くドキュメンタリー。『ジョン・コルトレーン チェイシング・トレーン』

 ジャス史上最高のカリスマと称されながら、1967年に40歳の若さで急逝したサックス奏者ジョン・コルトレーン。1946年にプロとしての活動をスタートさせたものの、いくつかのバンドを転々としながらも、陽の目を見ることはなかった。転機となったのが1955年のマイルス・デイビス・グループへの加入だった。1957年には薬とアルコールから脱却し才能を開花させ、初のリーダーアルバム『コルトレーン」やブルーノート初期の代表作の『ブルー・トレイン』をレコーディング。そしてそこから10年間で「ジャイアント・ステップス』『バラード』『至上の愛』といった名盤を発表していく。

 アラバマ州バーミンガムのアフリカ系アメリカ人教会の爆破で4人の黒人少女が殺された事件をもとにした「アラバマ」や、日本ツアーでどうしてもこの地でのライブをと熱望して実現させた長崎で披露した「ピース・オン・アース」が生まれていく過程もこの作品のなかでは紹介されている。ジョン・コルトレーンは人間の生を自分の内側に問いかけ、そこから溢れ出てくるものを音楽として表現していたのかもしれない。だからこそジョン・コルトレーンの音はスピリチュアルであり続ける。

 なぜジョン・コルトレーンの音楽に引き込まれるのか。その理由を明らかにしてくれるドキュメンタリー映画だ。彼に影響を受けたアーティストらの証言も交えている。

Photo by Francis Wolf ©Mosaic Images

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ジョン・コルトレーン チェイシング・トレーン

監督:ジョン・シャインフェルド

2016年/アメリカ/ 99分

12月3日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷 他全国ロードショー

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