滋賀県 琵琶湖に出現する ユートピア。

達 水と木の祭り

2年に一度というペースで開催を続けている祭りがある。琵琶湖沿いのキャンプ場を会場にした〈水と木の祭り〉だ。「オーガニック」や「エコロジー」という言葉を鍵につながっていった仲間たちが全国から集う。




文 = 菊地 崇 text = Takashi Kikuchi


 日本最大の面積と貯水量を持つ琵琶湖。取り囲む山から水が注ぎ、京阪神の水がめとしての機能も有している。そんな琵琶湖沿岸にあるキャンプ場で開催されているのが〈水と木の祭り〉。毎年ではなく2年に一度開催されている祭りだ。今年で6回目の開催を数える。


 この祭りを立ち上げたひとりが達さん。達さんは京都左京区でNaturalFood Villageという自然食ンレストランを営んでいる。達さんはバックパッカーとして世界を4年間旅した後に、旅のなかで感じ取ったライフスタイルを伝えるために、2001年にNaturalFood Villageをオープンさせた。


「2年に一回というのは、あくまでも成り行きでした。一回目のときに、開催の一週間くらい前になって会場が急遽使えなくなってしまったんですね。手分けして新しい場所を探したんですけど、なかなか見つからない。もう間に合わないなって思った3日くらい前に、今も使わせてもらっているマイアミ浜のキャンプ場が決まって。何も準備ができないから、ゆるゆるにやるしかない(笑)。それが良かったんでしょうね。友だち同志で楽しむのが、本来は中心にあるべきものだと思うし。京都って独立心が強い人が多くて、小商いも多い。みんなが表現者であり、ショップオーナーであり、アーティストであり、そういう人が集まってくれたんです。次の年はみんなのタイミングは合わなくて開催できなかったんですけど、みんなに心残りがあったんでしょうね。もう一回やりたいという雰囲気になって、誰となくやろうって言い出して」


 達さんは、この祭りのオーガナイザーであることは間違いない。けれど「あくまで全体を見ている程度にすぎない」と口にする。祭りをつくり上げるひとりひとりが、積極的に参加することでこの祭りが成り立っているという。今年、出演するミュージシャンやDJは60を超え、マーケットや飲食での出店は200近くになる。毎回、その数は増え続けている。


「この祭りに来る人はほとんどが友だちです。友だちが友だちを連れて来てくれる。今では、北海道から沖縄まで、いろんなところから参加してくれますよ。祭りとか、踊りとか、ヨガとか、音楽とか。これらって国境がないんですよ。言葉でうまくコミュニケーションが取れなかったとしても、すぐ仲良くなってしまう。自然に対して優しい意識を持っている人たちの連帯っていうものが確かにあるんですよね」


 〈水と木の祭り〉には連帯があるのだろう。だからこそ、禁止事項はアルコール類の持ち込みくらいで、ほとんど設けられていない。2日間の祭りの期間中、何度かセレモニーが行われるという。そのセレモニーは、地球への感謝を込めたものに他ならない。

「喜びとか幸せに、プラス自然環境という視点が入っていなかったのが、今までの失敗だと思うんです。自然というプラスが入っているだけで、ほとんどのことが循環していく。確かに経済優先の時代も必要だったかもしれません。これからは自然環境を守っていかないと、この地球が続かないですもの。いいことを伝えたいっていうことも人間の本能にあると思います。時代は変容していくものだけど、中心にあるものはさほど変わらない。この文化を繋げていきたいんですね。ある種の種まきですよ。僕らの世代から次の世代へ文化を継承すること。この時代の文化、しかもこの祭りという文化は自分らが集うことで生み出した文化なんですから、やっぱり伝えていきたいですね。今年も開催することになった。続けたいんじゃなくて、繋げたいんです」


 カウンターカルチャーを起源とした祭りという文化。フェスも、もちろんこの潮流のひとつにある。〈水と木の祭り〉には「2年に一度、琵琶湖に出現するユートピア」というキャッチコピーが冠されている。自分たちの心に描いた理想郷であるユートピア。その理想を、2日間の祭りの間だけではなく、いかに自分の日々の暮らしに繋げていくのか。それが〈水と木の祭り〉が提示し続けていることなのだろう。


FEST INFORMATION

水と木の祭り

08.19(土)~20(日)マイアミ浜オートキャンプ場

ALKDO、cro-magnon、FRYING DUTCHMAN EFFECT、Indus & Rocks、かむあそうトライブス、1945 a.k.a. KURANAKA、ALTZ、SOFT、Based On Kyoto、他 http://www.mizutokinomatsuri.asia/


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